渋谷龍一のドラゴンノート2019.11

【第3編】職場~企業と「カイシャ」・作法の違いを知っていますか~買いたたき3

2019/11/15

カイシャが非正規労働者を思う存分買いたたきできるのはなぜでしょうか。労働法がそうなっているから、という明快な主張があります。

『労働ダンピング』の著書もある中野麻美弁護士は、同一労働同一賃金に関する労働法の欠点を見破っています。働かせ方のほとんどを企業の決定に委ねる契約(稼ぎ主の男性正社員)であるという判断が司法の主流であり、仕事と生活の両立を配慮する契約(非正規)を周辺に位置付けることができてしまう。だから、部分的に同一賃金に関する法律がいくら整備されても根本解決になりません。

裁判の現場では基本給が同一賃金かどうかではなく、手当などが不合理な格差かどうかが争点になっています。だから、同一賃金でなくても合法なんだ、という確認作業の判例が重なり、同一賃金が遠のきます。

「労働者の宿命」を受け入れたくない非正規はどうなるのか。アルバイトによる勤務先での動画投稿が「バイトテロ」と命名され大問題になりました。カイシャ側が賠償請求する動きがあるとの報道があります。裁判になったら、「バイトテロ」?によるカイシャの損害と、買いたたきによる労働者の損害との関係は争われないのでしょうか。

一方では、人手不足で買いたたきができる労働者が減っていますから、代わりを探すしかなくなります。果たして、(本当は動画なんか簡単にあげられるのに)低賃金でも言うことを聞いて、キビキビ働く労働者がいるのでしょうか。

実はもう私たちが目の当たりにしています。今後は外国人がもっと増えますよ。「労働者の宿命」の話は何も日本人に限りません。

長時間労働の是正にしろ、同一賃金の実現にせよ、「労働者の宿命」に触れるところですから、やっと解放されるかもしれない、と労働者の心を揺さぶるでしょう。そこに悪意を感じます。

渋谷 龍一 (しぶや りゅういち) 労働ジャーナリスト
『女性活躍「不可能」社会ニッポン原点は「丸子警報器主婦パート事件」にあった!』(旬報社)で2016年貧困ジャーナリズム賞を受賞。
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