特集2019.11

日本の賃金・人事評価の仕組みはどうなっている?社会横断的な賃金指標はどうあるべきか
連合賃金水準検討PT答申

2019/11/15
連合は賃金水準を追求する闘争を強化する中、2019年1月に賃金水準検討プロジェクトチームを発足させ、8月に答申をまとめた。内容を報告する。
春川 徹 情報労連政策局長

連合は、昨秋における2019春闘方針の議論過程において、連合が示す「社会全体と共有できる社会横断的な賃金指標」はいかにあるべきか、についての議論が十分に深まったとは言い難いと判断し、2020年以降の春闘方針検討に向けて、2019年1月に賃金水準検討プロジェクトチーム(以降、賃金PT)を設置した。この賃金PTは、情報労連を含む16構成組織の参画の下、連合中央執行委員会からの諮問事項について論議を重ね、以下の答申を取りまとめた。

10月末現在、これらの答申を踏まえ、連合では賃金水準を追求する闘争強化に向け、2020春闘方針について議論が進んでいる。

規模間格差是正に向けた賃金水準指標

賃金PTでは、この賃金水準指標を検討するにあたっては、構成組織・地場共闘(中小共闘)・未組織労働者にとって、共通の目標となり得る賃金水準を示す必要があるとし、公的な賃金実態データである「賃金構造基本統計調査(以降、賃金センサス)のフルタイム労働者の平均的な所定内賃金」を目標水準として用いることを答申している。

この答申をまとめるに当たっては、これまで連合が春闘方針で示してきた指標と賃金が持つ生活を支える観点(=生計費)の2点について、30歳と35歳ポイントの比較検証を行った。いずれの比較検証においても、賃金額が賃金センサスと同水準であることから、中小労組が当面めざす水準として適当であると判断するに至った。

雇用形態間格差是正に向けた賃金のあり方

賃金PTでは、雇用形態を問わず、賃金は労働の対価であり生活を賄える水準でなければならないとの考えから、前述した「賃金センサスのフルタイム労働者の平均的な所定内賃金」をめざすことが望ましいとするものの、有期契約等労働者の賃金実態は、絶対水準が低く、賃金上昇もほとんどないことから、「生活を賄う観点と初職に就く際の水準を重視した指標」と「賃金センサスのフルタイム労働者の平均的な所定内賃金の平均値をめざす指標」の二つを設けることを答申している。

賃金PTでは、連合リビングウェイジと賃金センサスにおける高卒初任給を比較検証し、「生活を賄う観点と初職に就く際の水準を重視した指標」としては、「時給1100円」を「賃金センサスのフルタイム労働者の平均的な所定内賃金の平均値をめざす指標」としては、賃金センサスが示す年齢階級別の金額の平均値からの算定や有期契約等労働者の処遇改善が急務であることなどを勘案し、「時給1700円以上・月給28万500円以上」としている。

賃金の範囲・扶養モデル見直し

賃金の範囲に関しては、それぞれの構成組織において、基本給や基準内賃金、手当等の扱い方が異なり多種多様であるため、賃金PTとしては、今後の検討課題とすることが望ましいとし、扶養モデルについては、2016年および2018年の連合生活アンケートの世帯形態をみると一部の扶養モデルに変動が見られるものの、これまでの調査結果との継続性・連続性に鑑み、今すぐに見直す必要があるとは言えないとし、引き続き、変動を注視することを答申している。

賃金実態の把握

これまでも情報労連は、毎年実施する賃金実態調査等の集約データをもとに、モデル賃金を設定し、中小企業に対置する加盟組合の賃上げ闘争の促進を行っている。しかしながら、これらの調査集約数は決して十分とは言えず、加盟組合が自組織の個別賃金実態について十分な把握ができていない状況となっている。このことは、今後、産別としてより精緻なモデル賃金を策定するためには克服すべき課題であり、加盟組合においても、賃金水準を追求する具体的な賃上げ闘争への転換のためには、自組織の賃金実態調査は重要な取り組みである。

情報労連としては、引き続き、組織全体の賃金実態を把握と賃金水準を追求する闘争の展開に努めていく。

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