渋谷龍一のドラゴンノート2021.12

【第5編】働く・2〜「F型」で考えてみましょうか〜働き方改革 VS
暮らし方改革

2021/12/15

経済貧困にもならず時間貧困にもならないためには、どうしてもパートナーそれぞれが仕事責任と家族責任の一人二役をやるしかないのですが、そうはならない。ワーク・ファミリー・コンフリクト(WFC、第40話)の話が全然通用しません。

ではパートナーを得てから、どうやってやり過ごしているのでしょうか。まずは、それぞれがやっぱり一人一役しかしない。昭和時代の専業主婦世帯そのもので、絶滅しつつあります。えっ、専業主夫もいるって? そういう話ですか。

しかし「プランB」があります。男性は相変わらず一役ですが、女性は二役です。男性は経済貧困にならないよう仕事にまい進し時間貧困へ、女性はそれを許しながら仕事責任と家庭責任で時間貧困へ。体壊しますよ。

「プランC」もありますか? なるほど起業ですか。起業しても仕事責任と家庭責任はなくなりません。時間貧困から脱しようとすると経済貧困ですよ。それに昭和・平成時代の自営・自由業の女性のつらさ、知らないでしょう。令和時代でも同じです。

「プランD」? まさかプランBのあんばいを変えただけのマイナーチェンジじゃないでしょうね。

はじめから「働き方改革」って言うから話が進まないのです。本当は「暮らし方改革」なんです。どうやって一人二役の暮らし方にするかが大切です。その暮らし方を起点にして、どんな働き方がほしいのか、を考えること。これが本当の働き方改革でしょう。だから、働き方のスタートラインは、長時間労働の是正ではなくて、男性が一人二役をする、とはらをくくり、パートナー同士で決めた通りに手足をよく動かしてやりはじめることなのです。

働き方改革からではなく暮らし方改革から考える方が楽しいでしょう。その自由があってもよいはずです。さらに、その先にこう考えてほしいのです。メンバーシップ型雇用(MS)って何なんだろうな、と。

渋谷 龍一 (しぶや りゅういち) 労働ジャーナリスト
日本労働ペンクラブ会員。主著に『女性活躍「不可能」社会ニッポン 原点は「丸子警報器主婦パート事件」にあった!』(旬報社)がある。
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