渋谷龍一のドラゴンノート2022.01-02

【第5編】働く・2〜「F型」で考えてみましょうか〜「メンバーシップ型は、ほぼM型」ということ

2022/01/19

いったん整理させてください。メンバーシップ型雇用(MS)とジョブ型雇用(JB)の区分を念頭に、MSじゃないならJBだと安直に進む前に、日本中がそうなっているMSが、暮らし方から見れば男性型(M)であることを考えるべきではないですか。会社一点集中の時間貧困なんです。つまり女性型(F)はMSになれないし、なりたくもない。だから女性の非正社員が多いのです。

わが社は女性管理職が増えているよ、という声が聞こえてきそうです。それは、女性にM型をやらせているだけで、男性のようにやり切れずに苦労します。

もちろんMSになれない男性はF型です。男性の非正社員が出現して増えてきました。俺ほど稼いでいないだろ、と女性たちに言い放ってきたMS男性が、今度はF型の男性に、オマエ情けねえな、根性出してちゃんと働けよ、と言い放つのです。非正規問題とは、決して非正規社員が増えただけの話ではありません。見方によってはMSに入らない人の受け皿です。

また、F型であった女性たちは、さあこれからはMSになれ、と無理難題を押し付けられているから、違和感、あきらめ、不満が高まるのは当然です。女性活躍のアリバイづくりに余念がない会社は、若干マイルドなMSに変えて、機会を与えたのに女性が応えてくれない、と嘆きます。

また、ガチで女性をMSに改造しようとするワイルドな会社では、面倒くさがって妨害する男性が続出します。どちらもオモテ職場とウラ職場ができますから、女性たちは余計にMSをいやがります。その生々しさの上に、男女雇用機会均等や女性活躍のシートをかぶせてしまうからよく見えなくなっています。

だいたい男女平等や女性活躍の話をするのなら、さあF型とM型がこれまで通りでよいのか、という話に進むのが当然でしょう。MSがほぼM型であるというのなら、女性を改造するのではなく、男性を改造しなくてはなりません。

渋谷 龍一 (しぶや りゅういち) 労働ジャーナリスト
日本労働ペンクラブ会員。主著に『女性活躍「不可能」社会ニッポン 原点は「丸子警報器主婦パート事件」にあった!』(旬報社)がある。
渋谷龍一のドラゴンノート
特集
トピックス
巻頭言
常見陽平のはたらく道
ビストロパパレシピ
バックナンバー