特集2023.04

組織を強くする
人が集まる、人が生きる組織とは?
労働相談の現場から 連合東京に聞く
労働組合の仲間を増やすには?
個人の問題にしないこと 上部団体の連携が不可欠

2023/04/12

連合東京は、連合労働相談センターの東日本地域を担当し、年間2000件を超える労働相談を受けている。労働相談から労働組合の結成につながり、仲間を増やす事例もある。仲間を増やす秘訣はどこにあるのだろうか。

ポイントの一つは、「自分だけの問題にしないこと。職場で働く仲間と問題を共有すること」と連合東京副事務局長で、連合ユニオン東京の書記長でもある吉岡敦士さんは話す。

「この会社が好きで職場に残って会社を良くしていこうと思えるかどうか。同じような問題を繰り返さないために会社と交渉しようと思えるかどうかが大切です」

そのため、労働相談を受けた際は、同じような問題を抱えている人がいるかどうか、職場で仲間になってくれる人がいるかどうかを確認する。仲間になってくれそうな人がいれば、次回の相談に一緒に来てもらうなどの対応をする。職場で信頼を得ている人を巻き込めるかどうかも大切だ。

ただ、「労働相談は問題解決型になりやすい」と連合ユニオン東京の関英二さんは話す。こうしたケースでは、各地方連合会のユニオンに個人加入しての対応や、労働審判など個別労使紛争の解決制度を使って対応が終了することが多く、労働組合の結成につながることは少ない。

実際、労働相談から過半数組合に発展する事例は、数多い労働相談の事例のうちわずかしかない。そこで重要な役割を担うのが、上部団体となる産業別労働組合だと2人は口をそろえる。「過半数組合になるには産業別労組のサポートがないと難しい」と吉岡さんは話す。過半数組合になるためには、産業別組合が日頃から培ったネットワークを生かして会社側に働き掛ける行為が重要だ。そうした働き掛けがあると安定した労使関係を構築しやすい。過半数組合を確保すれば、労使協定の締結など労働組合の力を発揮しやすくなり、その成果によって仲間をさらに増やすことにつながる。

労働相談から仲間を募って過半数労組にするには確かに難しさがある。そこで仲間を増やすポイントは、職場に残って仲間と一緒に職場を変えていこうとする思いと、産業別組合のサポートにあるといえる。

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