特集2023.05

組織としての労働安全
事故を防ぐ
サプライチェーン全体の労働安全へ
現場の声を伝える活動を展開

2023/05/15
情報労連は、労働安全衛生を労働組合活動の根幹となる重要な活動として取り組みを展開。サプライチェーン全体の労働安全の実現に向けて、新たに現場の声を反映するための施策などを展開する。
二瓶 隼一 情報労連中央執行委員

事故発生状況

NTTグループの通信設備工事等において、第61回定期全国大会(2022年7月29日)以降、4月17日までの約9カ月間で43件の人身事故が発生し、2件の死亡事故、17件の重傷事故が発生しています。

昨年の同時期における事故発生件数は47件であり、このうち死亡・重傷の事故が27件(3件の死亡事故を含む)だったことから、昨年より事故発生件数が減少していることがわかります。しかし、それでも事故がなくなったわけではありません。今年度に発生した事故の概要を分析すると、(1)過去に発生した事故と同様の事故が多発している、(2)班長などのベテラン層が被災するケースが多い──という二つの傾向が見て取れます。

特に、1月に発生した共架柱の抜柱作業中の死亡事故については、施工方法が現場任せになっていたことや、同類の事故がNTTグループの工事で過去にも発生していたにもかかわらず、その再発防止等がサプライチェーン全体で共有されていなかったことが明らかになりました。

このことを踏まえ、情報労連は、NTTグループ各社、通信建設各社の労使および、情報通信エンジニアリング協会を構成とした各種安全推進機構(安全専門委員会、安全対策協議会等)において、会社側と再発防止に向けたさらなる取り組みの徹底や事故発生傾向を踏まえた安全教育の充実、新技術の導入など、ソフト面・ハード面、そしてマインドという観点から、再発防止策について議論するとともに取り組み強化を図ってきました。

労働安全衛生強化月間

情報労連は、厚労省が7月に実施する「全国安全週間」に先駆け、毎年6月を「労働安全衛生強化月間」に設定し、安全意識のさらなる向上に向けて、「安全で安心して働ける職場」環境の整備、および職場第一線での安全な職場環境と健康管理の促進に、労使で連携した取り組みを展開しています。

とりわけ、今年度においては、例年実施している職場点検や、ストレスチェックの実施状況の確認等に加え、前述した事故の発生状況を踏まえ、情報通信産業におけるサプライチェーン全体の安全労働につなげる観点から、「安全ヒアリング」を実施することとしました。

通信設備工事等における重大人身事故の発生状況等を踏まえつつ、類似事故の再発を防止するため、関係する組織にヒアリングを実施し、安全労働の確立に向けた取り組みを強化します。これを例年の取り組みとし、現場の意見をボトムアップする仕組みにつなげていきます。

また、有識者を招き、労使で知見を深める取り組みとして6月5日に「安全衛生フォーラム」を開催します。

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労働安全衛生の取り組みは、組合員の生命と健康を守る「労働組合活動の根幹となる重要な取り組み」です。すべての加盟組合は、組合員が安全で安心して働ける環境の整備、および、現場第一線で働く労働者の安全の確保に向けて取り組んでいきましょう。

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