【第7編】労働組合〜ジェンダーギャップ最劣悪国でどうしますか〜F型とコロナ
コロナ禍で女性がひどい目に遭いました(遭っています)。やはり、女性のライフコース、非正規社会、カイシャ、オトコ社会などの、あれとそれがすべてつながっていることがわかるでしょう。
家ごもりになると、働く女性たちは家族責任で仕事を減らしたり、退職したりする負担は想像を絶します。また、家計が苦しくなったり、思うように仕事ができなくなった「ゲタオ」が暴れ出し、DV、虐待、性暴力などが増え、女性相談窓口やシェルターはパンク寸前でした。
一人暮らしならよいわけではありません。正社員は収入が急減したり失業し、非正社員はそれより前に失業して、頼る人間がいないならどうしようもない。中高年の女性は、これまで以上に仕事がないので生活苦や生活破綻に陥り、ホームレスが増え、自殺者が増えました。
それでもまだ男女は平等なはずだ、と言うのですか? 男女で大きな格差があるから、コロナでそれがはっきり見えるようになったのです。元からあった火に油を注いだだけでしょう。
日本の雇用を特徴づける「メンバーシップ型雇用」(MS)から生みだされたF型の話をしました(第54話〜第57話)。MSから追い出されたF型は、男女平等ではないのです。家族責任者の顔を持つ不安定な労働者で、その低い待遇がF型全体に適用されます。しかも、次の世代から充填されるからF型はいずれ退くよう促されます。「ある時から全然面接に受からなくなった」とみんな口をそろえて言います。
あらゆる調査結果が、コロナ禍で「見える化」された苦境が女性に集中し倍増していたことを示します。「早く収束して元通りに戻りたい」って、倍増前の苦境に戻すってこと?
女性活躍とか念仏を唱えている場合ではないでしょう。雇用制度が女性の人生を破壊しています。もういい加減、F型を何とかしないと。労組が取り組むべきものの一つは、F型を変えるためにMSをどうするか、でしょう。
日本労働ペンクラブ会員。主著に『女性活躍「不可能」社会ニッポン 原点は「丸子警報器主婦パート事件」にあった!』(旬報社)がある。