「柔軟化」「2024年問題」などへの対応
労働時間はどうなった?36協定は組合活動の「イロハのイ」
中小企業での活用事例を知る
中央執行委員長
「イロハのイ」
De-self労働組合にとって36協定と就業規則の活用は、組合活動の「イロハのイ」です。新しい労働組合を立ち上げてまず取り組むのは、この二つです。
36協定に関しては労使協定の締結当事者である過半数代表者になるために組合員を増やすことをめざします。36協定は事業所ごとで締結されるため、会社全体で過半数をめざすより取り組みやすい目標です。
なぜ36協定かというと、36協定は労働組合の力を強めるツールだからです。過半数代表者もしくは過半数労働組合になれば、会社が提案してきた36協定に対して修正を求めることができますし、それだけではなく時には協定を締結しないという選択を示すことも可能です。例えば、会社が時間外労働とは別の課題で不利益な提案をしてきた場合、その次の36協定を締結しない姿勢を示すことで交渉カードの一つとして活用できます。
このような使い方をすることで36協定は、労使関係に緊張感をもたらします。労働組合にとっては組合員を増やす動機になります。労働組合は、組合に入らない人が増えれば過半数代表者ではなくなってしまいます。そのため「過半数割れ」した労働組合が過半数を確保するためにパート従業員を組織化した事例もあります。一方、会社にとっては法律の手続きにのっとって手続きをするという緊張感が生まれます。
36協定の活用事例
De-self労働組合の支部が立ち上がった会社では、36協定を締結しているかどうかすらわからない職場がありました。そのため労働組合の立ち上げ後、会社に対し36協定の開示を求めた上で過半数代表者選挙の実施を求めました。その結果、いくつかの事業所で組合員が過半数代表者になりました。
過半数代表者になり会社と36協定を巡って協議をすると、何が時間外労働にあたるのかを明確にできます。例えば、昼休みに休憩を取らず働き続けたら、それは労働時間になり、不払い賃金の請求につながります。
De-self労働組合の支部では、36協定を1年間にわたって締結しなかった支部もあります。会社が労働組合と誠実に交渉せず、不利益な提案を繰り返してきたからでした。労働組合が36協定の締結を拒否したことで会社は相当困ったと思います。その間、会社とは労働時間についてぎちぎち交渉しました。今は労使関係が良好になり、36協定を締結していますが、36協定の拒否が今の労使関係につながっていると思います。上部団体の支援は不可欠です。
労働組合にとっての武器
会社のルールややり方が「ブラックボックス」になっている場合、それらをこじ開けるための労働組合の一番の武器が、36協定と就業規則です。これを突き付けるだけで会社には相当インパクトがありますし、組合員には労働組合ができて変わったというイメージを伝えることもできます。
「労使協調」と聞くと、会社の言うことを聞かないといけないと思ってしまう人がいます。労使交渉といっても、せいぜい会社にお伺いを立てるというイメージです。しかし労使交渉では、少しでも良い条件を会社に認めさせるという意識で臨むことがとても大切です。会社と対等の立場に立ってより良い条件をめざして会社と交渉する。こういう意識を労働組合の役員がいかに持てるかがその後の組合活動を左右します。36協定はそのために不可欠なツールです。だからこそ36協定は組合活動の「イロハのイ」なのです。