渋谷龍一のドラゴンノート2024.04

【第7編】労働組合〜ジェンダーギャップ最劣悪国でどうしますか〜クミジョ!?

2024/04/10

労働界でがんばっている女性をクミジョと呼びます。労組の役員、その予備軍、職員、関係組織のスタッフ、組織内議員などです。私が名付けました。それぞれ活躍していますが、狭い意味では女性役員を指します。対する男性集団はクミダンです。

こうした女性たちは従来いましたが、マイノリティーなので例外扱いでした。実際には軽視ないし無視されてきました。会社の職場では男性が多いため、労組でも男性組合員が多くなり、自然に労組役員は男性ばかりになります。

人数や割合の問題だけではありません。労組は男性型組織であり、男性基準でモノゴトが進みます。女性の労働力率が上がり、職場に女性が増えてくると、労組はどうなるか。男性型組織では自然にクミジョが増えるわけではありません。

このため、労組は女性組合員やクミジョを増やそうとしてきました。例えば、連合は結成当初から計画を立てて努力してきました。しかし、計画倒れになるたびに、目標は変更されたり新装されたりしてきました。労組役員の女性割合は、まだ組合員の女性割合に届いていません。

クミジョという言葉は、なかなか普及しません。それどころかお叱りを受けることもあります。女性を特別視するな、レッテルを貼って固定的なイメージをつくるな、と。一見、ごもっともです。

それでも、名前を付けることにはメリットがあります。真っ暗で見えなかったところに光を当てることができます。閉じられていたフタを開けてしまえます。

クミジョがマイノリティーから脱して「市民権」を得るのに、クミジョという言葉は有害ではなく、むしろ先取りしているのかもしれません。「見えぬ化」より「見える化」の方がよくないですか。クミジョって言うな!というのは、大半のクミダンか、クミダンみたいなクミジョか。別に何も困っていないから、マイノリティーを想像できず、その気持ちもわからない? おお〜コワ!

渋谷 龍一 (しぶや りゅういち) 労働ジャーナリスト
日本労働ペンクラブ会員。主著に『女性活躍「不可能」社会ニッポン 原点は「丸子警報器主婦パート事件」にあった!』(旬報社)がある。
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