「平和四行動」に向けていま知っておきたいこと若い世代が基地問題を議論できる環境をつくりたい
一橋大学大学院生
県民投票に取り組む理由
「目的は、辺野古の新基地建設を止めることです。その可能性が少しでも高まるならと思い、行動しています」
「『辺野古』県民投票の会」の代表の一人、元山仁士郎さんはこう訴える。
元山さんが県民投票の活動をするのには二つの理由がある。一つは、翁長知事の埋め立て承認撤回を後押しすること。もう一つは、若い世代が県民投票を基地問題を考えるきっかけにすることだ。
日本で海を埋め立てるには、公有水面埋立法に基づく、県知事の埋め立て承認が必要だ。公有水面埋立法の第4条1項は、その承認に際して、「適正かつ合理的」であることを定めている。
翁長知事は、前知事による埋め立て承認を撤回すると明言している。県民投票で、辺野古新基地建設反対の民意が示されれば、埋め立ては「適正かつ合理的」とは言えない力強い根拠になる。元山さんはこう説明する。
若い世代が基地問題と議論する
もう一つの理由は、若い世代に基地問題について考えてほしいという願いだ。
「40年後の沖縄はどうなっているでしょう。戦争体験者が減って、戦争や平和のことを話題にする機会も減っていくと思います。そのとき今を振り返って、何も議論してこなかったと思いたくない。だから今、若い世代が基地問題について考えるきっかけをつくりたい」
元山さんは県民投票が議論を促進するためのツールになると考えている。
「この間の沖縄の選挙では、基地問題が争点として正面から扱われない戦略が使われてきました。有権者もさまざまな問題を抱えていて、基地問題だけで意思を示すのは難しい。県民投票の用紙には、辺野古新基地建設に反対か、賛成かだけを書きます。項目を絞った県民投票ならば意思を示しやすいはず」と元山さんは考えている。
世代間ギャップを埋める
県民投票の実施の是非を巡っては、翁長知事を支える勢力の中でも、推進派と慎重派に分かれている。経営者や弁護士のグループが推進派で、いわゆる「革新政党」は慎重派だ。
そうした中で、元山さんは、若い世代の方が県民投票を実施した方がいいと捉える人が多いと感じている。
「若い世代も本当は基地問題について語りたい。そういう欲求はあると思います。若い世代の中にも、基地関連で働いている人や、恋人が米兵という人もいます。基地について議論すると、ケンカになることもあります。でも、そこを解きほぐしたい。何より、基地問題について話してもいいという環境をつくりたい」
「辺野古のゲート前で活動している人たちは60代以上の人が多いです。その世代が闘って勝ち取ってきたものが若い世代と共有されていません。そのギャップを埋めていきたい」
普天間基地返還を巡る問題だけでも20年以上議論が続いている。若い世代の間には「諦め感」や「うんざり感」が広がっていると元山さんも感じている。
「若い世代に年長者の思いを伝えるには、経験を伝えるだけじゃ足りない。正しさを訴えるだけでは納得を得られない場合もあります。お互いが自分の考えを伝え合って、議論できる環境をつくっていきたい」