【第2編】働く〜もう「非正規社会」だって わかっていますか〜非正規最大・増加中の「主婦パート」
「第5話」(2017年3月号)で指摘したように、ライフコース上、かつては正社員で働いてきた女性たちが出産を経て主婦パートに吸い込まれていきます。最新の総務省『就業構造基本調査』によると、2017年の非正規雇用者は約2133万人ですが、このうち、派遣やその他を除いた、既婚女性のパートタイマー、アルバイト、契約社員、嘱託社員を主婦パートとみなすと約1051万人と急増しています。もう男女の非正規全体の49.3%、つまり非正規の半数は主婦パートです。
当然ですが、主婦パート世帯の割合も上昇中です。総務省『労働力調査年報』で夫がフルタイム勤務の雇用者の世帯、いわゆるサラリーマン世帯に限ると、そのうち妻が専業主婦の「専業主婦世帯」は2000年の44.8%から2017年の31.2%まで減っています。もう共働き時代ですが、実は妻がフルタイム雇用者の「キャリアウーマン世帯」も2000年以降ずっと21%前後で横ばいです。結局、「主婦パート世帯」だけが増え続けています。2000年には、26.3%でしたが、2015年には鉄壁だった「専業主婦世帯」を抜き、2017年は38.4%と4割に達する勢いです。
女性は家庭にいて家事や育児に専念してきた構図が崩れて、しっかり家の外で働いていたかつての日本の姿に戻ってきました。夫の稼ぎだけでは不足するので、妻が働かざるを得なくなったからです。しかし、主婦パートで働く場合には、子育てが一段落してから働き始めるのではなく、子どもが小さいうちから働き始める点が現在の姿です。待機児童問題は正社員だけでなく、いまや主婦パートの切実な問題です。
専業主婦が減り続ける中、主婦パートが結婚する女性の主な通路になっています。日本の標準的なサラリーマン世帯は、専業主婦世帯から、夫婦フルタイム勤務の世帯ではなく、主婦パート世帯へ移っています。男女共同参画の空虚な掛け声の中で「日本のキホン」は強化され、仕様を変えただけ。
日本労働ペンクラブ会員。主著に『女性活躍「不可能」社会ニッポン 原点は「丸子警報器主婦パート事件」にあった!』(旬報社)がある。