特集2018.12

社会とつながる労働組合運動被災地支援を継続するKDDI労組
支え合いの精神が原点に

2018/12/12
KDDI労働組合は東日本大震災の発生後、現在に至るまで被災地支援に注力し続けている。活動には一般組合員が参加している。取り組みの内容を紹介する。

独自の活動を展開

KDDI労働組合は、被災地支援の取り組みを活動の大きな柱にしている。同労組では連合や情報労連のボランティア活動に参加するだけではなく、独自の活動も実施してきた。

KDDI労働組合の独自の取り組みは、2011年7月に宮城県仙台市で定期全国大会を行ったことからスタートした。震災後、被災地では観光客が激減していたことから被災地の経済的支援を目的に開催した。翌年から津波により大きな被害を受けた、宮城県気仙沼市で定期全国大会を開催。2018年まで連続して開催(2017年は熊本で開催)し、大会後は現地で参加者によるボランティア活動を実施してきた。

2012年11月からは「がんばろう!東北応援ツアー」を独自の活動として始めた。気仙沼市を中心に南三陸町や岩手県陸前高田市を含む南三陸沿岸を視察、現地でボランティア活動を行う内容だ。参加者は1回につき10〜15人。年間3〜4回行い、これまで計22回、延べ約260人が参加した。参加者は一般組合員。組合のメールマガジンで募集する。参加費は1人1万円で、その他の費用は労働組合が負担している。

肌で感じてもらう

ツアーでは、津波被害の実相を肌で感じてもらいながら、復興の現状を知ってもらう。気仙沼の漁協では、ワカメやカキの養殖作業を手伝っている。参加した組合員からは「支援や応援は十分に行き届いていると思っていたが、メディアだけでは得られない情報を肌で感じることができた」「自然の猛威について考えさせられた。今過ごしている日常がとても大切だと感じた」といった感想が寄せられている。

参加した組合員は労働組合の社会貢献活動を通じて、組合活動への理解を深めてくれているとKDDI労働組合の登尾直樹組織局長は説明する。組合員からは、「労働組合の活動が現地の人たちに認識されているとわかった」「可能な限りツアーを続けてほしい」という感想が寄せられている。組合活動を家族に知ってもらうきっかけにもなる。

KDDI労働組合では、このほか「復興応援!宿泊補助制度」「ボランティア支援金制度」を制定し、一人でも多くの組合員が被災地に寄り添った活動に参画できるよう支援している。前者は東日本大震災・熊本地震、西日本豪雨などの自然災害の風化防止と復興支援を目的として、被災地を訪問する際の宿泊費を補助する制度。後者は、組合員のボランティア活動にかかる費用を補助する制度だ。

支え合いが原点

KDDI労働組合が被災地支援を積極的に行うのには、労働運動の根幹は「共助」(助け合い、支え合い)にあるという認識がある。支え合いは社会の普遍的な価値観であり、労働組合もその価値観を組合内部のメンバーシップを超えて共有し、体現することが必要という考え方だ。

支援活動を継続することで被災地の人たちとの結び付きも強くなっている。労働組合のイベントや労使共催の運動会では、被災地物産を販売し、売り上げ金を寄付をしている。気仙沼のホテルの支配人からは「こんなに支援を続けてくれる団体は少ない」と言葉をかけてもらっている。KDDI労働組合の社会貢献活動で支え合いの輪は着実に広がっている。

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