特集2018.12

社会とつながる労働組合運動復興支援活動が労働組合の意義を感じるきっかけに

2018/12/12
2011年3月の東日本大震災の発生後、情報労連はさまざまな復興支援活動を展開してきた。スケールメリットを生かした活動の経過を紹介する。

震災直後から対応

情報労連は東日本大震災の発生後、さまざまな復興支援活動を展開してきた。これまでの活動を振り返る。

情報労連が震災の発生後すぐに取り組んだのは、組合員・家族・退職者の安否確認、被災状況の把握、連絡手段の確保─だ。震災当日の2011年3月11日には「災害対策本部」を設置。翌12日には緊急の中央闘争委員会を開催し、被災した組織やインフラ・ライフラインにかかわる組織は当面春闘を凍結し、災害復旧を優先することも確認している。

連合は同年3月31日から被災地へのボランティア派遣を開始した。情報労連は第1〜18陣(同年9月末)まで延べ232人を派遣。宮城県仙台市や岩手県宮古市などで活動した。

情報労連の独自ボランティア

情報労連は2011年7月の定期全国大会で、独自ボランティアの検討を始めることを決定した。9月には宮城県東松島市で海岸清掃ボランティアを実施(177人が参加)。10月からは岩手県大船渡市で復興支援ボランティアをスタートした。延べ222人を現地に派遣し、側溝の泥出しや漁業関連施設の清掃などに取り組んだ。

また、12月からは岩手県の三陸やまだ漁協と連携して「復興カキオーナー」制度を展開した。申込金額は約1億5000万円に上った。

翌2012年は11月から翌年1月にかけて宮城県南三陸町でボランティア活動を行った。全国から延べ180人が参加し、がれき撤去などに汗を流した。2012年にはJA全農福島と連携して、福島の米のあっせん販売も展開した。販売金額は約4200万円に及んだ。

2014年からは福島県南相馬市でのボランティア活動をスタートした。2014年1月から2016年11月まで、延べ430人が南相馬市で家屋の片付けや草刈りなどの作業に従事した。

統率取れた行動に評価

情報労連は2017年7月に開いた第56回定期全国大会で一連の取り組みについて、(1)被災地ニーズに即した取り組みを行ってきたこと(2)加盟組合が結集した取り組みとなったこと(3)取り組みを通じて被災地の実相を組織全体で共有できたこと─から、被災地の復興支援および風化防止という所期の目的を果たし得たと確認。その上で、被災地のニーズや受け入れ態勢の変化などを踏まえ、「被災地復興支援の風化防止」「災害対策に対する意識の醸成」を意識した取り組みを実施することを決めた。

この方針に基づき、2017年11月には宮城県石巻市で「東北被災地視察学習会」を開催。2017年5月と今年11月には熊本で学習会を開催した。

災害復興支援活動では、熊本地震や西日本豪雨の際も、ボランティア派遣を行った。また、東日本大震災、熊本地震、西日本豪雨などでそれぞれカンパ活動を展開。組合員の生活再建や被災地復興の一助となってきた。

情報労連の被災地での取り組みは、その都度、統率の取れた行動などで現地の社会福祉協議会などから高い評価を得てきた。労働組合の組織としての力が発揮されてきたと言える。

参加した組合員の多くは、被災地の現状を体感するとともに、労働組合の社会貢献活動の意義を感じている。復興支援活動が労働組合の意義を体感する一つのきっかけになっている。

大船渡市での活動
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