特集2019.04

職場の防災・減災を進めよう大規模災害を想定し図上型防災訓練を実施
事前にシナリオを明かさず緊張感を持って

2019/04/12
NTT労働組合西日本本部では、大規模災害を想定した図上型防災訓練を実施した。訓練を経て得られた成果や課題などについて報告する。
飛田 吉則 NTT労働組合
西日本本部 企画組織部

防災訓練の目的

NTT労働組合西日本本部は、大規模な自然災害や緊急事態などにおける労働組合の役割・機能の発揮が、今後ますます重要になるとの認識に立ち、発生が危惧されている「南海トラフ地震」をはじめ、全国各地で発生し得る地震を想定した図上型防災訓練を実施しています。

この防災訓練は、地震発生時の初動期に各組織が行うべき状況判断・意思決定と役割の確認や、災害対策活動上の問題点および課題を抽出するとともに、今後に向けた防災意識と災害対応力の向上を図ることを目的としています。

訓練の状況設定として、南海トラフなどを震源としたM8.0(最大震度7)の地震が西日本エリア全体で発生し、(1)大きな揺れにより、各地で家屋の倒壊や道路の損壊等で甚大な人的・物的被害が発生(2)大津波警報が発表された─と想定しました。

その際、実際の災害を想定し、(1)全組織において災害対策本部を設置(2)コントローラ(西日本本部)から電話やFAX等で災害状況を付与(3)プレーヤー(総支部)が収集・分析・判断するとともに、具体的対策方針を検討する─などの災害対策活動を図上で行っています。

なお、訓練にあたっては、事前にシナリオをプレーヤー(総支部)に明かさないブラインド方式としています。

防災訓練で得られた成果や課題は表の通りです。

【NTT労組西日本本部の成果・課題等】
安全の確保自身の安全を確保することが最優先であり、防災用ヘルメットはすぐに手が届く場所に保管しておく。
事務所を放棄し避難する場合は、災害種別によって避難場所、避難ルートを事前に示し合わせておく。
安否確認体制確立に向けた役職員の安否確認は、電話・メール・伝言ダイヤル・SNS等を想定。
利活用媒体の制限を考慮し、複数の手段・方法などについて優先順位も含め、平時から意識合わせをしておく。
災害対策本部体制の確立迅速かつ円滑に体制を確立できるよう各自の役割を事前に決めておく。
限られた人数での対応を迫られた場合の対処を事前に検討しておく。
窓口の明確化各組織(会社等含む)の窓口「連絡責任者等」を明確にし、窓口の一元化を図り、情報錯そう等による混乱を避ける。
情報収集情報収集手段は、TV・ラジオ・インターネット等であるが、複数の媒体から情報を収集する。
通信の確保通信手段は、電話(固定・携帯)・電話会議・FAX・メール等であり、通信不能・輻輳等に備え、複数の通信手段を確保し、柔軟な対応を行う。
情報共有情報は上部組織からの指示も含め、適切に共有する。
また、情報収集に必要な共通のフォーマットなど事前に確認・準備しておく。
連携事前に確認した役割分担に従い、関係する機関と連携を図るため、窓口・連絡手段等の相互確認をしておく。

今後の取り組み

西日本本部「防災訓練」で得た課題や危機管理マニュアル等を参考に、各組織において対処等を検討していくこととしています。

また、「備え」への充実を図り、防災訓練等を実施することにより、課題の事前把握に努め、万全の体制を整えるとともに、より柔軟な対応が図れるようマニュアルの見直しを行いつつ、「防災・減災」への取り組みについても積極的に対応していきます。

なお、昨年の訓練直後には、「大阪北部地震」、その後に「平成30年7月豪雨」が発生しました。

西日本本部は、災害対策本部を設置し、関連組織と連携し対応を行ってきましたが、訓練とは違い、災害の種別により、退職者の会会員の安否確認や家屋の被災状況確認について、一部において難しさもありました。

今後においては地震のみならず、あらゆる災害を想定し、より効果的な訓練が実施できるよう検討していく考えです。

「南海トラフ地震」などを想定し図上型防災訓練を実施
特集 2019.04職場の防災・減災を進めよう
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