特集2019.10

「共助」をもっと考えよう支え合い・助け合いを「見える化」する
連合「ゆにふぁん」がスタート

2019/10/15
連合は10月1日から社会貢献活動の新しい仕組み「ゆにふぁん」をスタートさせた。連合はこの取り組みで、これまで培ってきた「支え合い・助け合い」の運動を「見える化」し、発展させることを狙う。この運動の背景やめざすことについて聞いた。

顔の見える運動

「ゆにふぁん」とは、連合のホームページ上に、日本地図を使った「ゆにふぁんマップ」を開設、そこに連合の構成組織(加盟単組)や地方連合会(地域協議会)の社会貢献活動および、それらと連携するNGO・NPOなどの活動を掲載し、閲覧する人がその活動に参加したり、支援・寄付できたりする運動だ。10月1日から運用がスタートしている(QRコード)。

はじまりは、2015年の連合第14回定期大会。連合はこの中で「よい社会をつくるため、志を同じくする組織・人と連携し、自らが行動する〜支えあい、助け合いの運動を通じ、市場万能・短期利益最優先の風潮を変えよう〜」という運動方針を掲げた。また、「地域に根ざした顔の見える運動」を実践し、地域で頼られる存在として役割を発揮するとも書いた。

ここには、地域だけではなく、連合の組合員に対して「顔の見える運動」を展開したいという思いもあった。連合の南部美智代副事務局長は「連合の組合員であっても自分が連合の組合員という意識のない人がほとんどです。そうした人たちにどうしたら連合運動に当事者として参画してもらえるか、議論を重ねてきました」と話す。

連合はこの方針を踏まえて、『支え合い・助け合い運動基盤研究会報告書』を2017年7月にまとめた。有識者を交えた研究会では、一人ひとりが連合の運動に参加するための運動基盤や、連合運動と地域社会とのつながり、財政基盤などについて議論を交わした。

「この中で、連合の構成組織や地方連合会が地域で行っている支え合い・助け合いの運動は、連合運動の貴重な資源・財産だと強調しました。すでに築き上げられてきた貴重な知見・ノウハウを活かしていくことを提言しました」(南部副事務局長)。

構成組織や地方連合会は、お互いの活動を知らないことも多く、相乗効果を発揮できていない。これを「見える化」することで、組合員や市民社会へのアピールを強めることができる。この報告書を踏まえて「ゆにふぁん」の具体的な検討が始まった。

「ゆにふぁんマップ」で「見える化」

「ゆにふぁん」の大きな機能の一つが「ゆにふぁんマップ」だ。

「まず連合の持つ貴重な資源・財産を『見える化』することです。そのため『ゆにふぁんマップ』では、日本地図に構成組織や地方連合会の活動をマッピングして、全国でどのような活動が行われているのか見えるようにします」

「ゆにふぁんマップ」には連合の構成組織・地方連合会の活動とともに、それらと連携して活動しているNGOやNPOなどの市民団体の活動も掲載する。また、サイト上でボランティアや物資支援の募集を募ることもできる。「地域で顔の見える運動」を取りまとめ、可視化・共有化するプラットフォームにすることが「ゆにふぁんマップ」の狙いだ。

クラウドファンディング機能も

「ゆにふぁん」にはもう一つの大きな機能がある。それが「ゆにふぁんクラウドファンディング」だ。

「ゆにふぁん」に登録した構成組織や地方連合会、NGOやNPOなどの市民団体は、「ゆにふぁん」を通じて、クラウドファンディングを募ることができる。それぞれの団体は、資金を集めたい活動を連合に申請もしくは推薦。審査を経るとその活動が「ゆにふぁんマップ」とともに、クラウドファンディングサイト「Readyfor」にも掲載され、資金を募ることができる。

連合はこれまでもNGO・NPOなどに対して「連合・愛のカンパ」から助成を行ってきた。「愛のカンパ」からの支援は、構成組織・地方連合会を経由してカンパ金を集約し、連合本部の審査を経た支援や災害支援に用いられるのに対して、「ゆにふぁんクラウドファンディング」は個人が自分の支援したい活動を選択できるところに違いがある。

「連合のサイトを通じてクラウドファンディングを募ることでスケールメリットを活かすことができます。地域の市民団体とのつながりを強めるきっかけに活かしてほしい」と南部副事務局長は話す。

運動の好事例集として生かす

「私たちは連合の持つ潜在能力に気付いていません」と南部副事務局長は強調する。

「連合の持つ潜在能力を『見える化』するのが、『ゆにふぁん』です。当たり前のように行っている社会貢献活動ですが、実はすごいことをしている。でも、そういう意識をなかなか持てません。『ゆにふぁんマップ』に掲載されることで活動が可視化され自信につながることを期待しています」

また、南部副事務局長は「『ゆにふぁん』は好事例集にもなります」と話す。

「『ゆにふぁんマップ』では、それぞれの活動を地域ごとや分野別に検索することができるので、他地域や他の組織がどんな活動をしているかわかります。それを参考に自分たちの運動をより発展させるといった活用の仕方もしてほしい」

連合700万組合員が同じ方向を向いて行動すれば、社会を変える大きなうねりとなる。連合は結成30周年を迎える今年の定期大会で「まもる・つなぐ・創り出す」を運動方針に掲げる。組合員や市民活動とつながり、次なる運動を作りだす。「ゆにふぁん」は、そのツールとしての役割発揮が期待されている。

(取材日9月4日)

10月1日に開かれた「ゆにふぁん」のオープニングイベント
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