どこが問題?雇用によらない働き方「ベルコモデル」の闇を追及
絶対に負けられない闘い
社会の発展も阻害
冠婚葬祭大手「ベルコ」は、従業員約6800人のうち正社員はわずか35人程度。残りの従業員は、形式的に業務委託とされている代理店と、その代理店に雇用された労働者だ。
ベルコは、業務委託契約という形式を建前に、代理店主は個人事業主であり、代理店従業員はベルコの従業員ではないと主張する。しかし、その一方で、ベルコは実質的な指揮命令を代理店や代理店従業員に及ぼしている。実態はベルコという一体的な会社組織を形成しているにもかかわらず、「雇用によらない働き方」を建前に使用者としての責任を果たしていない事例なのだ。
2月14日の集会では、連合の神津会長が次の通り訴えた。
「私なりにベルコの働かせ方のモデルを表現すると、このやり方は働く者の善意に不当に乗りかかったやり方。生身の人間の感情を無視した行為だ。形式だけ整えておけば問題ないというやり方は、働く者を踏みにじるとともに、社会の発展を阻害することを改めて強調したい」
さらに神津会長は、「こんなものがまかり通れば、この世は闇だ」とベルコの働かせ方のモデルを強く批判。「絶対に負けられない闘いであることを共有したい」と参加者に訴えかけた。
その後、基調講演として石田眞・早稲田大学名誉教授がベルコの働かせ方の問題点を解説した。石田名誉教授は、「ベルコのビジネスモデルは労働法上の雇用責任を回避し、事業経営上のリスクと諸費用を回避する方法だ」と指摘。ベルコが「代理店従業員の雇用問題に関して現実的かつ具体的に支配、決定していたといえる」という北海道労働委員会命令の内容を踏まえ、「北海道労働委員会の事実認定を前提にすると、個別関係労働法でも、集団的関係労働法でも、労働者性が認められるべきだ」と指摘した。
次に、弁護団報告として棗一郎弁護士が札幌高裁および中央労働委員会の情勢報告を行った。棗弁護士は、「札幌高裁では、一審の札幌地裁では争点にならなかった葬儀施行業務の内容や就労実態を示し、ベルコの組織が実質的に一体となっていることを立証していきたい」などと解説した。
社会にもっと発信しよう
続いて、全ベルコ労働組合の高橋委員長が登壇。「葬儀は亡くなった方の最期を見送る大切な仕事。自分はベルコの社員だと思って14年間がんばってきた。にもかかわらず、会社は受け入れ難いノルマを押し付けてきた」と発言。厳しいノルマや賃金、社会保障の実態などを訴えた上で、「こうした働かせ方が地域やお客さまのためになるのか」と訴えた。
さらに、全ベルコ労組と同様、「雇用によらない働き方」の問題を抱える、ウーバーイーツユニオンと「公文式」講師の労組から応援メッセージがあった。ウーバーイーツユニオンの前葉富雄委員長は、「ウーバーイーツの配達員も個人事業主として扱われ、労働組合法上の労働者ではないとして、まったく相手にされていない。より良い仕事にしてお客さまに満足してもらいたい。そういう意味でも高橋委員長の発言に共感した」と述べた。また、情報労連組織内議員である石橋みちひろ参議院議員が登壇し、激励のメッセージを送った。
最後に連合の逢見会長代行が登壇。「ベルコ闘争の行方を日本で働くすべての人が注目するように発信を強めよう。SNSでの発信を広げ、裁判所や労働委員会がおかしな判断を下したら、大変なことになると思わせるくらいの勢いをつくっていこう」と呼び掛けた。
全ベルコ労働組合の闘いは「雇用によらない働き方」の今後を左右する「絶対に負けられない闘い」だ。全ベルコ労働組合の仲間とともに闘い抜こう。