特集2018.06

#MeToo ハラスメントのない職場へ[覆面座談会]職場のセクハラの実態は?
「それセクハラですよ」と言えない女性社員のホンネ

2018/06/13
30~50代の働く女性5人に集まってもらい、セクハラの実態について語ってもらった。セクハラ被害に遭っても、それを訴えづらい女性社員の気持ちが浮かび上がった。

セクハラの実態は?

─セクハラを受けたことはありますか。

Aあります。新入社員の時です。当時はよくわかっていませんでしたが、振り返ってみたらセクハラでした。男性上司が、若い女性だけを飲み会に誘っていました。当時はかわいがってもらっているという認識でした。でも、そのうち旅行に行こうという話になり、数人と一緒に行ったら、「一緒にお風呂に入ろう」とかいろいろ言われて。

やっぱり嫌でした。ただ、自分が当事者になってしまったうしろめたさがありました。ただただ受け流すことしかできませんでした。

B私もあります。20年くらい前ですが、会社の宴会の時です。若い女性にミニスカートを履かせ、お酌をさせてホステス状態。当時はセクハラという言葉が広がり始めて、その会社でも研修を受けていたのに。社長の食事会に、胸の大きい子だけが呼ばれるとか、あからさまなのもありました。

ストーカーのような被害を受けたこともあります。派遣社員として働いていた時、派遣先の男性社員に食事に誘われました。嫌だとは言えないので、「そうですね」とか受け流していました。そうすると、その後1カ月くらい、つきまとわれました。派遣元の社員に相談したら、「気のせいじゃないか」って。

C私は二人のような被害はなくて。家族的な雰囲気の職場でした。飲み会でセクハラ的な発言もありましたが、受け流せる程度でした。

職場の20代の女性社員にセクハラ被害について聞いてきました。通常の飲み会だと聞いて参加したら、合コンのような飲み会で驚いたことがあるそうです。

D私もAさんやBさんのようなセクハラを受けたことはありません。ですが、もっとわかりにくいというか。例えば、写真を撮る時は、上司の周りは女性がいいよねとか、飲み会で偉い人の隣は女性がいいよねとか。私ががんばるのは、そこなのかなって思います。

E20代の頃、当時の上司と職場の人たちとよく飲みに行きました。その上司はセクハラ発言が多くて有名な人でした。適当に受け流していたのですが、ある時、二人で飲みに行くと急に抱き付かれました。

その時は、同じ会社の人がたまたまそこに居合わせていて、「何やっているんだ」と止めてくれました。ショックでした。ただ、その後、止めてくれた男性に「あなたも男の人と二人で来るんじゃない」と怒られました。その方がもっとショックでした。普通の居酒屋に来ただけなのに責められるのは納得がいかなかったです。

Aすごくわかります。私が男性だったら上司の誘いに乗って飲みに行くのは問題になりません。でも、女性というだけで誘いに乗ったら軽率だと言われます。

被害者バッシングはなぜ起きる?

Aここ10年で社員同士のセクハラは減ってきた気がします。でも、新入社員とか、派遣社員とか、業務委託先とか、立場の違いを利用したセクハラは結構残っています。

Eうちの会社も毎年ハラスメントに関する学習会があって、セクハラは減っているように感じています。それでもAさんが言う通りで派遣社員に対するセクハラの話は時々聞いています。

B派遣先で開口一番、「きみの仕事は若い女の子でいいんだよ」と言われたことがあります。他の派遣先では、「子どもはいるの?」とか「結婚してるの?」とか、しつこく聞かれたこともあります。

泣き寝入りしている人は多いと思います。セクハラ被害を訴えたら、その人が逆に責められることも多いです。

以前いた派遣先では、セクハラ被害を受けた派遣社員が派遣先のコンプライアンス部に直接相談しました。すると、派遣元の担当者は彼女のことを責めました。なぜ、派遣先に相談したのかって。そういうひどい目に遭って、セクハラを訴えた彼女は結局、辞めてしまいました。

─セクハラや性暴力に関しては、被害者バッシングが多いこともよく指摘されます。

Eセクハラがどんなにひどいことなのか想像できないのかもしれませんね。

A女性がノーと言えないことが想像できないからかもしれません。嫌だと言えない女性の気持ちがわからない。男性は「なぜ嫌だと言わなかったのか」と絶対言いますよね。そこがわからないから、「女性にも非があった」となってしまう。

─大切なポイントですね。

A女性がうしろめたく思う必要はないはずです。でも、そう思ってしまう気持ちもすごくわかります。私もセクハラ被害を受けた時に、それがセクハラだとはすぐに気付かなかった。後になってセクハラだったと気付いたので、今さら言えないという気持ちもわかります。男性にはそういう気持ちをわかってほしいですね。

D場の空気を壊せないから「#MeToo」のような告発の仕方になってしまうのかもしれません。適切に対処する場がないから、告発という形になってしまうのかなと思います。

E自分がセクハラを受けた時に「嫌です」と言えなかったことが、心の中にヒリヒリとずっと残り続けます。それを財務省のセクハラ事件なんかをニュースで見ると思い出す。それで、「ああ、やっぱりあの時、嫌だったんだな」って。

拒否できない女性の気持ち

─セクハラを嫌だと思っていてもその場では拒否できない。セクハラでよく指摘される構図です。

Dその場の空気を維持しないといけないと思って、にこやかに対応してしまう。触られたとしても「やめてください」ってなかなか言えないですよね。

E飲み会の場で性的な経験を聞かれたことがあります。内心では、「なんでそんなこと言わないといけないのか」と思うのですが、周りが談笑をしていると、適当にはぐらかしてしまう。

本当は、「それセクハラですよ」くらいの切り返しをしたい。でもできなかった。何年たってもそのことを思い出して、すごく悔しい思いをします。後になって、嫌だったなと思い返すんです。

D私は、場を盛り上げようとして下ネタに乗っかってしまうことがあります。本当は嫌なので帰り道に落ち込んでいます。身を削るようなことをなぜ言ってしまったんだろうって。

A私は逆に、男性の後輩から「それセクハラですよ」と注意されたことがあります。それは素直に受け入れられたのですが、自分が言うのは難しい。セクハラだと注意したら、「度量が狭い」と思われるとか、雰囲気を壊してしまうとか、なぜか女性側が気を使ってしまいます。

Eアイドルグループのメンバーが強制わいせつで書類送検されましたよね。あの時、「あれで訴えられたら、男としてはつらい」と言う男性がいました。その男性は「Eさんみたいに受け流せばいいんだよ」って言うんです。もう、それで自分が受けたセクハラのことを思い出し、悔しくて、悔しくて。

A男性的には受け流してほしいのでしょうね。中高年男性の価値観を変えようと思っても難しい。彼らが先に退職するのを待ちましょう。

女性としての働きづらさ

─女性として働きづらさなどを感じることはありますか。

E男性はプライドを持って仕事をしているけど、女性はそうじゃないと思われている気がします。女性を対等な仕事仲間と見ていない男性がいると思います。

Aセクハラではなくても、性別役割分業を無意識的に押し付けてくる雰囲気が一番の働きづらさです。

B昔は「腰掛け」という言葉がありましたが、今も派遣社員を軽く見るようなことを言う人がいます。でも、私も一生懸命仕事しています。そんな人には負けません。

C育児で時短を取っている社員が評価の対象になりません。育児中でももっと仕事をがんばりたい女性はいます。

D時短だと昇格の対象にならないと言われた女性社員が周りにいます。そういう話を聞いていると子どもを産むことにすごく躊躇してしまう。時短で働く人をうまく活用できていないと思います。出産や育児などで女性のキャリアパスが途切れてしまうとすれば、モチベーションが下がってしまう気持ちもわかります。

A私は、女性としてどうしたら活躍できるかをテーマに働いてきました。子どもがいますが、育児をしながら成果を出すことにとてもこだわりました。寝る間を惜しんで働いたので昇格できましたが、そこまでやらないといけないのかなという思いはあります。仕事に緩急を付けながらでもキャリアが見通せる働き方があるといいですね。

─最後にハラスメントのない職場に向けて一言。

E月並みですが、相手の気持ちを想像することだと思います。

Cやはり意識の問題は大きいと思います。ハラスメントについてもっと深く考えないといけないと思いました。

Dハラスメントの話になると、「やってはいけないリスト」が求められがちですが、大切なのは、共感力とか人権とか、人を思いやる気持ちだと思います。

B女性がなぜ嫌と言えないのか、男性にもっと知ってもらうことが大切だと思います。女性がその場の空気を壊してはいけないと気を使っていると理解してくれる人が増えるだけでも変わってくると思います。

A多様性・ダイバーシティーが大切だと思います。これからの時代、国籍、人種、年齢、性別など、さまざまな人と一緒に働くのが当たり前になってきます。自分とは違う立場や価値観の人を思いやらないと組織はうまく回りません。他者を思いやる気持ちが大切だと思います。

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