トピックス2018.06

第2次男女平等参画推進計画と「SOGI」に関する差別禁止に取り組む

2018/06/13
情報労連は6月を「ダイバーシティー推進月間」に設定し、各種の取り組みを展開する。取り組み内容を紹介する。
齋藤 久子 情報労連中央執行委員(政策局)

はじめに

情報労連は、誰もがその個性と能力を十分に発揮できる、多様性(ダイバーシティー)が受容される社会や組織、職場をめざす観点から、ダイバーシティー推進に取り組んでいます。その取り組みの底上げを図る期間として、6月を「ダイバーシティー推進月間」に設定し、(1)情報労連「第2次男女平等参画推進計画(以下、「2次計画」)」の着実な前進に向けた取り組み(2)性的指向および性自認(以下、「SOGI」)に関する差別禁止に向けた取り組み─などを行います。

情報労連「第2次男女平等参画推進計画」の着実な前進を

男女雇用機会均等法や育児・介護休業法、女性活躍推進法など、女性のキャリアに関する雇用環境の法的整備が進められているものの、賃金や昇進・昇格、与えられる仕事の違いなどによる男女間格差等が是正されず、実質的な男女平等はなかなか進んでいません。また、労働組合の中でも、運動の担い手が圧倒的に男性に偏っている、という実態もあります。

「2次計画」では、職場から男女差別をなくし、労働組合の運動への女性の参画を促進する観点から、二つの理念と三つの運動目標を掲げています。計画期間は2020年までの7年間となっており、それぞれの運動目標に対して数値目標を段階的に設定し、取り組んでいるところです(図1)。

【図1】情報労連「第2次男女平等参画推進計画」

運動目標1
男女平等参画の必要性を組織全体・組合員一人ひとりに浸透させる。

〈数値目標〉
(1)次期定期大会(2014年開催)において、すべての組織が、運動方針に男女平等参画に取り組む意思を明記する。
(2)本計画に基づく自組織の「男女平等参画推進計画」を策定している組織を2013〜2014年度の2年間で100%にする。

運動目標2
仕事と生活が調和し、いきいきと働き続けられる風土と環境をつくり、企業・職場における女性の活躍を促進する。

〈数値目標〉
(1)次期定期大会(2014年開催)において、すべての組織が、運動方針に男女平等参画に取り組む意思を明記する。
(2)本計画に基づく自組織の「男女平等参画推進計画」を策定している組織を2013〜2014年度の2年間で100%にする。

運動目標3
男女がともに参加し、行動することで、労働組合運動を充実・発展させる。

〈数値目標〉
(1)各種会議や集会・イベント、研修等、あらゆる取り組みへの「女性参画率30%」を、すべての組織で2020年までに定着させる。(対象:中央本部・県協・加盟組合)
(2)女性役員を選出している組織を、遅くとも2017年までに100%にする。(対象:中央本部・県協・加盟組合)
(3)情報労連の役員および機関会議の女性参画率を2020年までに30%とする。(対象:中央本部の役員および機関会議、県協の議決機関(構成員・傍聴))
(4)加盟組合は、2020年までに女性組合員比率の女性参画率(役員および議決機関)の達成をはかる。さらに、女性組合員比率が30%未満の組織もできる限り「2020年30%」をめざし、取り組みを進める。(対象:加盟組合の役員および議決機関)

とりわけ、数値目標の一つに掲げられている『女性参画率30%』については、情報労連の組合員に占める女性の割合からしても、決して簡単ではない目標です。企業の取り組みにしろ、労働組合の取り組みにしろ、数字ありきの取り組みになっているのではないか、といった声もあるかもしれませんが、自然体では、運動に多様性を十分反映するだけの女性の参画は望めません。

女性が意思決定の場に増えることにより、意思決定に多様性が反映され、働き方をはじめとするさまざまな事項に多様なニーズが取り込まれるということも考えられます。仮に労働組合が旧態依然とした男性・正社員中心の組織であった場合、この先、すべての働く仲間の組合員の共感を呼ぶ運動を展開することはできません。男女がともに働きやすい環境づくりのために、労働組合自身が活動の幅を広げ、主体的に男女平等参画を推進していくことは、労働組合の社会的な信頼を高めるものですし、情報労連が将来にわたって発展するために欠かせない取り組みです。

まずは、一人でも多くの女性に参加を呼び掛ける、あるいは、女性役員に対して積極的に育成機会をつくるなど、取り組みの積み重ねを着実に進めていくことが大切です。また、男女平等参画推進が組織全体を巻き込んだ実効性のある取り組みとなるよう、各組織トップのリーダーシップの発揮も求められています。

性的指向および性自認に関する差別禁止の取り組み

さらに、「ダイバーシティー推進月間」では、「SOGI」に関する差別禁止に向けた取り組みも展開します。

13人に1人がいわゆるLGBT当事者とのデータもあり、ほとんどの職場に当事者が存在すると考えられます。また、連合調査では、身近にLGBTが存在するという人の約6割がハラスメントを、約4割が差別的取り扱いを見聞きし、経験したと回答しており、多くの職場で差別やハラスメントが蔓延している可能性が読み取れます。

このような中、連合は、2017年11月に「性的指向及び性自認に関する差別禁止に向けた取り組みガイドライン」(以下、連合「ガイドライン」)を策定し、「SOGI」に関する差別や性的マイノリティーにとっての社会的障壁等を実効的に取り除くために、労働組合の立場から押さえておくべきポイントについて取りまとめています。情報労連でも全組合役員を対象に、意識啓発を目的とした付箋紙を作成し、連合「ガイドライン」の活用促進を図る内容としました。「ダイバーシティー推進月間」の機会を捉え、職場環境改善等の取り組みを進めていけるよう、まずは、組合役員一人ひとりが「SOGI」に関する理解を深めていくこととします。

人権尊重の運動を展開

男女平等や「SOGI」に関する差別禁止は、職場の労働環境改善ということを超えて、人権の問題でもあります。とりわけ、LGBT当事者は、これまでもずっと存在していたにもかかわらず、差別やハラスメントの課題や職場における困難を抱えていたとしても、カミングアウトの難しさから周囲に助けを求めづらいこともあり、課題が見落とされてきた側面もあります。そうした点においても、誰もが、性別や年齢の違い、障がいの有無、性的指向・性自認によってその存在を否定されたり、差別やハラスメントを受けたりすることのない、真に平等な社会をめざしていく必要があります。

情報労連は、これらの取り組みが、すなわち人権を守る取り組みであるとの幅広い視点を取り入れ、運動を展開していきます。

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