中小規模労組の闘い方
情報労連主催のイベント、ICTJライジングセッションに登壇した。情報労連に加盟している、大手から中堅・中小までの企業の労働組合関係者が全国から集まり、情報交換や課題の共有などが行われた。社交辞令ではなく、熱のこもった、有意義なイベントであった。
なんといっても、各労組が直面している課題と、その解決策の共有セッションが興味深かった。組織の拡大、春闘の交渉、次世代幹部の育成、会議の方法、レクリエーションの方法、組織内のジェネレーションギャップ解消というように、大きなテーマから、具体的な日々の活動に関するものまで、幅広いテーマが共有され、深い議論が展開された。これらの課題は、労働組合が常に直面してきたものではある。しかし、中堅・中小企業の労働組合にとっては、なかなか相談する相手もいないし、実行するにもリソースを割けないことがある。共有された悩みに対して、参加者が解決策の提案や、取り組み事例の紹介などを行った。目からうろこが落ちるような話も多数あった。
解決策だけでなく、そもそもの考え方をアップデートする貴重な機会にもなった。特に春闘への向き合い方においては、これまでの対前年比のベースアップという話だけでなく、企業の経営目標とその難易度、達成度、労働者の貢献度など、さまざまな指標を具体的に分析した上で交渉するというノウハウや、この業界、企業、職種における賃金のあるべき姿から論じるなど、根本的な話も共有された。
最近、結成されたばかりの労働組合からの参加者もいた。組合を結成した喜び、熱が伝わってきた。他の労働組合に刺激を与えていた。
このような、労働組合の関係者が集まり、あるべき姿や現状の課題を共有する場は貴重である。日本全体に広がることを期待する。
雇用・労働に関する問題に限らず、同じような問題で、同じように悩んでいる人は必ずいる。しかも、結構な人数いる。「個人的なことは社会的なこと」という言葉がある。自分自身が直面している問題は、必ず社会とつながっている。悩んでいる人は一人ではない。人に相談すれば、解決策を得られることもあるし、少なくとも、気持ちはスッキリする。
ちょうど、この秋に開いた中学校の同窓会を思い出した。郊外のごく普通の公立の中学校だったのだが、みんなが50代の扉を開いた今年、学年の3分の1にあたる約50人が集結した。現在の職業も、家族の状況もバラバラである。孫がいる人もいる。世代間格差だけでなく、世代内格差も大きいと言われているが、私たちは同じ時代を生きてきた「大きな同じ」を確認し、さまざまな喜怒哀楽を共有した。間違いなく元気になることができた。
私たちは一人ではない。これは、労働組合運動の原点の一つだ。規模や新旧、業種や職種の違いを乗り越えて、知恵を出し合うこと、お互いに支え合うこと、励まし合うこと、これこそが働き方のあり方が大きく変わる時代の労働組合運動が取り組むべきことである。ぜひ、ライジングセッション的なものを日本中に広げよう。