特集2021.01-02

「コロナ」から考える政治と生活「コロナ対応」組織内議員はどう対応?
働く人たちの声を政治の場に届ける

2021/01/15
「コロナ」対応として、さまざまな対策が求められる中で、情報労連の組織内議員はどのような活動をしてきたのだろうか。宮城県1区選出の岡本あき子衆議院議員に話を聞いた。
岡本 あき子 衆議院議員
情報労連組織内議員

東日本大震災の経験を生かす

情報労連の組織内議員・岡本あき子衆議院議員(宮城県1区)は、新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年2月以降、地元の有権者や労働組合、フリーランス、医療従事者、ひとり親世帯、生活困窮世帯など、幅広い人たちの声を聞いてきた。

医療従事者からは「医療防護服が足りない」「負担は重くなっているのに、経営が厳しい」、ひとり親世帯や非正規雇用労働者などからは「生活が厳しい」、フリーランスからは「使える支援制度がない」、留学生などからは「情報が届いていない」──。こうした声をオンラインツールのミーティングや小規模のヒアリングなどの中で集め、国の政策に反映させてきた。

感染拡大当初に取り組んだのは、「自粛と補償」をセットにすること。また、10万円の定額給付金が支給される際には、世帯単位ではなく個人単位で支給されるよう訴えた。

学校休業に対応した助成金制度が創設された際などは、フリーランスも制度の対象になるように求めたり、「休業支援金」を受け取れない労働者が続出した際は、制度の見直しを訴えたりした。その結果「休業支援金」は、会社の協力がなくても一定の要件のもと、労働者が支援金を受け取れるようになった。

岡本議員は、東日本大震災当時、仙台市議を務めていた。「大きな災害が起きると、平時からぎりぎりの生活をしていた人たちが、セーフティーネットからこぼれ落ちてしまう」。岡本議員は、震災後、制度のはざまに陥り、困窮に追い込まれる実態も見てきた。だからこそ、「制度のはざまにいる人を救うのが政治の責任」と強調する。制度を利用できない人がいれば改善を求め、そもそも制度すらない状態であれば、制度の創設を求めてきた。

困っているのは一人ではない

政策に意見を反映できるのは、当事者の声があるからだ。

「当事者の声があるから、私たち議員も動くことができる。困ったことは自分のことだけじゃないと思ってほしい」と岡本議員は訴える。

「一人の声は、一人だけの声ではない」

岡本議員は繰り返しそう強調する。苦しいこと、困ったことについて声を上げると、そう思っていたのは自分だけではないと気付くことができる。だからこそ、声を上げやすい環境を整えることが大切だと語る。

「議員は身近にいる存在。気軽に頼ってもらいたい」と岡本議員。行政が「縦割り」でサービスを利用しづらいのに対し、地方議員も含め議員は、横通しが得意な存在。セーフティーネットにつなげるためにも、議員を活用してほしいと話す。

岡本議員は情報労連の組織内議員として、加盟組合の声を政治の場に届ける活動も展開してきた。「働く現場の情報を先んじて届けてくれる労働組合は、とてもありがたい存在」とその意義を認める。組織内議員が、働く人の声を政治の場に届ける「仲介役」となっている。

さらに、生活者・勤労者・納税者の視点に立った政治の実現に向けて、働く人たちの代表を議会に選出する必要性は、今も変わらない。

「積み上げたシャンパングラスの上から富を注ぐのが、今の政権与党の政治。その結果、一番上のグラスのサイズだけが大きくなり、2段目、3段目のグラスにまで恩恵がとどかなくなった。私たちがめざすのは、2段目、3段目のグラスにこそ、まずその中身を届けること。そこが最大の違い」と訴える。

制度をうまく活用できた人だけが幸せになるのではなく、「誰も取り残さないこと」を基本にしなければいけないと岡本議員。働く人の立場に寄り添って活動してくれる議員の存在は大きい。

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