「コロナ」から考える政治と生活声を上げれば社会は変わる
大人は若者の声を聞いてほしい
代表理事
変えられないという諦め
10〜20代の若者は、人口に占める割合が小さいだけではなく、投票率も他の世代に比べて低くなっています。若者の声が政治に反映されているとは言えず、危機意識を持っています。特に政策決定の場に10〜20代の若者が少ないことは非常に問題です。
若者は政治に無関心と言われますが、それは違います。多くの学生が政治と社会の結び付きを理解しています。そうした若者は、政治に参加して社会を変えられると思っていなかったり、投票したいと思える候補者がいなかったりするだけで、政治に無関心なわけではありません。
専門的には、日本の若者は「政治的有効性感覚」が国際的にとても低いと指摘されています。政治への関心度は、スウェーデンやドイツのような若者の投票率が高い国とそん色ないレベルですが、自分が参加することで政治を変えられるという意識がとても低い。
なぜ「政治的有効性感覚」が低いのかというと、義務教育課程で自分の声を聞いてもらったり、声を上げて学校のことを変えたりした経験がないことがあります。日本若者協議会のアンケートでは、7割の若者が、自分が声を上げることで学校を変えられるとは思っていませんでした。教師に意見を言っても無視されたとか、動いてくれなかったとか、そうした大人の行動に対する失望が、声を上げても無駄という感覚につながっています。義務教育段階でマイナスの学習経験をしていることが最大の課題です。
身近な「社会」である学校を変えられなければ、より大きい単位の政治を変えられるとは思えません。そこを変えていく必要があります。
思った以上に変えられる
どうすれば「政治的有効性感覚」を高められるのか。それは、積極的に声を上げてほしいということに尽きます。声を上げてみると、思った以上に社会は変えられます。実際、私たちの活動でも、やってみたら意外とできたという事例はたくさんあります。
例えば、コロナ禍では、一人の博士課程の学生のツイートが国会議員への要請へとつながり、支援策が実施されることになりました。日ごろの不安や不満をSNSに投稿することから、社会の仕組みが変わることはあります。
政治家は、思ったよりも話を聞いてくれるし、動いてくれます。政治家を招いたイベントに参加したり、政治家にメールをしたりして、声を直接届けることもできます。日本の政治家はツイッターをよく見ているので、そこに声を届けるのも有効な方法だと思います。まずは声を上げることが大切です。
労働組合は若手の声を積極的に聞いて
若者は、日本社会を諦めているのではありません。社会に対する不安や不満を抱えています。でも、現状維持でいいという感覚を強くもっています。政権交代が現状の不満を解消してくれるとは考えず、今の与党に任せていた方が改善を期待できると感じています。野党に投票したら何を変えてくれるのか、野党は全体像を示す必要があると思います。
若者たちは、これまでの世代とは大きく異なる生活の中での不安や不満を抱えています。その声をまずはしっかり聞くこと。その上で、政策に反映させる取り組みができれば、労働組合の政治活動への理解も深まるのではないでしょうか。