特集2021.11

「労働時間」問題の現在地
働き方の変化はどう影響するのか
職場で進むテレワーク 加盟組合の取り組み事例

2021/11/12

事例1 NTT労働組合
グループ全体でリモートワークを推進
労組のチェック機能がより重要に

NTTグループにおけるリモートワーク(場所にとらわれない柔軟な働き方)は、NTTグループ中期経営戦略に基づく、デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)推進に向けた取り組みとともに、2019年12月以降、新型コロナウイルス感染症の世界的流行も相まって、急速に展開しました。

2020年7月に5割程度*だったリモートワークの実施率は、2021年8月には7割を超えており、この1年で定着し、今後もNTTグループ全体でリモートワークを推進することとしています。

リモート型の働き方推進に対しては、(1)リモートワーク制度および手当の創設(2)フレックスタイム制の見直し(スーパーフレックスの導入)(3)通勤費の実績払い──等に加え、(4)自宅等における環境整備(5)現業業務におけるDX推進(6)メンタル・フィジカルヘルス対策──等について労使間論議を行い、運用しているところです。

一方、2020年10月に実施した組合員意識実態調査の結果では、月平均の時間外労働時間は、前回(2016年)と比較すると微増しています。また、1年前と最近2〜3カ月の時間外労働の変化については、約24%が「増えた」と回答しており、若年層ほど増加傾向にあります。

従って、リモートワークにおける労働時間管理については、労働組合のチェック機能の発揮が重要との認識に立ち、36協定に基づく時間外協議はもとより、日々の勤務表とPCのログや入退出時間等との突合チェックなどを行うとともに、労使で構成する「労働時間適正化委員会」等を通じ、定期的に論議を行っています。

引き続き、11月以降各組織から報告される総労働時間、年休取得率などの職場実態を分析するとともに、働き方の多様化により、労働時間の長時間化やメンタルヘルス不調等が社会的課題となっていることを意識し、NTT労組として、組合員・社員の心身の健康と安全確保に向け、会社対応を行っていきます。

*エッセンシャルワーカーを除く数字

事例2 KDDI労働組合
申告しやすい職場づくりへ
労組が能動的に聞く取り組みを展開

多くの企業がそうであるように、KDDIも新型コロナウイルス感染症の流行下で在宅勤務(テレワーク)が一気に浸透しました。在宅勤務は、通勤時間の削減やワーク・ライフ・バランスの充実など多くの利点がある一方で、労働時間管理の難しさという課題も生じさせました。

KDDIは在宅勤務を、事業場外労働のみなし労働時間制とせずに、労働基準法上も労働安全衛生法上も労働時間を管理把握しています。

しかしその際、従来の事業所に出勤する勤務形態であれば、入退室の記録で客観的に労働時間の状況を把握できますが、在宅勤務ではそうはできません。また、パソコンのログは一定程度、客観的な記録ともなり得ますが、パソコンを利用しない業務が担保されない問題があります。さらには、もし厳格に労働時間のすべてを指揮命令下に置こうとすると、社員のプライバシー保護の観点に課題が生じます。よって、在宅勤務においては少なからず自己申告の要素が必要になります。

自己申告制をきちんと機能させるためには、(1)社員自らが各種制度やルールを正しく把握し自律的に働くこと(2)適切な指示、報告を相互に行うために社員と管理者がしっかりとコミュニケートすること──が重要だと考えます。

そして、その中で労働組合に求められる役割は、(1)就業規則等の勤務規程を組合員に正しく理解させるための周知・啓発活動(2)問題が生じた際に頼られる組織であること──です。

特に、在宅勤務者に対しては、どうしても労働組合が問題を発見しにくくなり、また組合員との接点も希薄になってしまいがちです。そうなっては困難を抱えた組合員は、誰に相談することもできなくなってしまいます。

KDDI労働組合は、さまざまな環境変化の中において組合員からの相談を待つだけではなく、組合員が困っていることや課題の有無の確認など、組合員とのつながりを活動の原点に、能動的に聞く取り組みを進めています。

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