特集2017.07

「悪質クレーム」と向き合うコールセンターでの「悪質クレーム」の実態は?

2017/07/21
情報通信業にも「悪質クレーム」の問題はある。コールセンターなどお客さまと直接向き合う部署で働く4人に集まってもらい、悪質クレームなどの実態について語ってもらった。

悪質クレームの実態

─悪質クレームの実態を教えてください。

A以前、料金センターで働いていました。そのときは、「料金の支払いが間に合わないけど、回線を開けてほしい」というお客さまからの要望が日常的にありました。「以前はこうしてもらった」「特定の担当者に代わってほしい」などと要望してくる人も多かったですね。

このような電話対応は、話が長くなりがちで一つの対応で1時間以上かかることもあります。こうした電話をかけてくる人の中には、高圧的な人がいるのも事実で、料金をお支払いいただけなくて、一定期間後に回線を止めた後に、「何で止めたんだ」と訴えてくる人もいます。

Bかなり悪質なケースでは、過剰な要求を超えた金銭要求や居座りなどの事例もあったと聞いています。危険物を送りつけたと言ってくる人もいました。こうしたレベルになると警察と連携して対応せざるを得ません。

C女性のオペレーターと話すことが目的というか、商品の細かい点をあらかじめ調べてきて、オペレーターを質問攻めにして、困らせることが目的のような人もいますね。オペレーターが上司に代わらせてほしいと言っても、代わらせないとか。オペレーターも仕事ですから、もちろん対応しますが、精神的に参ってしまいますよね。何度もかかってくるので、何日にもわたって対応するような場合もあります。

Dホームページで商品の内容を調べ尽くして、専門的であえて困らせるようなことを聞いてくるんですよね。そういう人への対応は長くなってしまうのですが、話が長くなると、途中で揚げ足を取るような細かいところを問い詰めてきて、お説教するようなタイプの人もいます。悪質になると、大声で脅すとか、裁判を起こすぞという人もいます。

「お説教タイプ」が多い傾向

─最近の傾向・特徴はありますか?

Dやはりお説教するタイプの男性が多いという印象があります。

C女性に対して高圧的になる男性が多いです。男性上司に電話を代わった時点で怒鳴るのをやめたりとか……。

B40代以上の人がほとんどですね。それから、最近の傾向としては、SNSや動画サイトにアップすると訴える人が増えています。消費者庁などの窓口にクレームを持ち込む人もいます。公的機関に報告されれば、件数がカウントされるので、どの企業も細心の注意を払っているのではないでしょうか。

ASNSへの投稿はありますよね。お客さま対応では、こちらからメールを利用することもあります。文面がSNSなどで拡散される可能性もありますから、細心の注意を払っています。要求を通すために内容を拡散すると訴える人もいるので。

─悪質クレーマーの特徴として、高学歴、高所得のように社会階層が高い人が多いという研究もあるそうです。

Aそういう傾向は感じます。同じ業界と思わしき人が、筋道立った内容でクレームをつけてくることがあります。研究されているという感覚はあります。

C他社のクレーム対応が知りたいという理由でクレームをつけている同僚もいました……。

企業に求める対処策は?

─企業での対応は十分でしょうか。

A電話対応が長時間にわたるような場合は、リーダークラスの従業員が対応したり、折り返しでかけるようにしたり、個人ではなく、組織で対応するようにしています。それでも対応しきれないと判断した場合は、上位のセクションで対応します。このように組織体制を整理して対応しています。とはいえ、電話を受ける個人は、怒鳴られたりすれば、精神的に参りますし、メンタルに影響することもあると思います。

B個人に任せず、組織で対応するという点では、しっかりしていると思います。無理な案件を人に押し付けるようなことはせず、みんなで相談して対処策を練っています。サポート体制は整っていると思います。ただ、すべての案件に関してフォローすることはできないので、個人にかかるプレッシャーが見えない場合は、休みがちになってしまう人もいます。

─企業に望む改善策は?

B対策への要望としては、SNSへの対処方法を改善していく必要があると思います。

Cリスクマネジメントに関する研修を現場のオペレーターまで対象を広げてほしいですね。マニュアルなどの情報ももっと共有されるといいと思います。現状では、オペレーターの個々のスキルで対応せざるを得ない場合もあるので……。オペレーターの人たちは派遣社員で、離職率の高さが課題となっています。

A近年は、どの業界も人手不足で、コールセンターの時給が他業種に追い越されて、人が集まりづらいという現状がありますし、他の業界と比べると離職率は高いように思います。長く働き続けられるように、人的ケアを手厚くする必要があると思います。

C覚える業務が多すぎて、研修中に辞めてしまう人もいますよ。

A人と話すことが好きな人はこの仕事を天職だと感じて、長く働き続ける人もいますが、何も経験のないまま入ってきたら、3カ月ももたず辞めてしまう人もいます。

Dもう少し休憩が取りやすくなったり、ゆとりがあるといいですね。ノルマがあるので、悪質クレームに対応しても、すぐに次の電話を取らないといけないので。メンタルヘルスに関して、専門的に相談できる人が職場で身近にいるといいですね。

B想像以上にひどいことを言われている現状もありますからね。自分が原因をつくったわけじゃないのに、人格を否定するようなことを言われることもあります。メンタルのケアは必要だと思います。

Aメンタルのケアも必要ですが、悪質クレームへの対処策を組織として示してあげることも大切だと思います。対応を個人任せにすると、現場の負担は減りません。

─悪質クレーム問題に関して、社会的に発信したいことは?

A窓口で働く人たちが、ストレスのはけ口にされているような風潮を感じています。理不尽な対応を要求しても問題ないという風潮を打破するには、法で縛り付けることよりも、社会の雰囲気を変えていくことが大切だと思います。

大変な仕事をしているんだということを社会にもっと認めてもらいたいですね。会社にもそういうことを訴えています。

C悪質な事例であれば、営業妨害という扱いにしてもいいのではと思います。

─労働組合としては、同じ業種の皆さんが経験を共有したり、企業の枠を超えたガイドラインなどをつくっていけるのではないかと考えています。

Cそういう大きな枠であれば、社会にもっと発信できるかもしれないですね。

─本日はありがとうございました。

特集 2017.07「悪質クレーム」と向き合う
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