2020春季生活闘争
分配構造の転換をめざす2020春季生活闘争
本誌到着時、連合の“2020春季生活闘争”は、『第一先行組合回答ゾーン(3月9〜13日)』のまっただ中にある。
巻頭言の執筆段階(2月26日)でその妥結・決着内容を想定することは困難であるが、第50回中央委員会(1月30日)における産別春闘方針の決定以降、各構成組織の取り組みにスピード感の違いはあるものの、要求の確立から妥結・決着に至る取り組みに対し、各組織が全力投球をいただいていることに敬意を表したい。
さて、連合は、「2014春闘」を起点として、ナショナルセンターとしての具体的要求水準を提示し、とりわけ「2016春闘」からは、サプライチェーンを意識した“すべての働く仲間の春闘”として、「月例賃金の改善」はもとより、「働き方改革」を含めた「底上げ」「底支え」「格差是正」の取り組みを強化してきた。
その取り組みは道半ばであり、今次春闘においてもその前進を期すことは言うまでもないが、今日的大きな情勢変化の中で、今次“2020春闘”が、これまでにない厳しい局面を迎えていることについては論をまたない。
2月17日、内閣府が発表した10〜12月のGDP速報値は、5四半期ぶりのマイナス1.6%(年率ではマイナス6.3%)、また、2月21日に厚生労働省が発表した『12月の実質賃金確報値』も昨年比1.1%のマイナスとなったが、これは、昨年来の米中貿易摩擦による世界経済の低迷や、国内における消費増税による駆け込み需要の反動減が反映したものであり、加えて、今般の『新型コロナウイルス』の感染拡大による世界経済の混乱や、企業収益の大きなマイナスが想定される中にあっては、連合各構成組織における春闘交渉が、時の経過とともに厳しい状況に置かれることは想像に難くない。
しかしながら、現状において重要なことは、内需および個人消費に資する政策的判断であり、その意味において、『経済の自律的成長』と『社会の持続的成長』を実現するための“分配構造の転換”をめざす“2020春季生活闘争”の位置付けと役割はますます高まっている。
先行組合の結果を中小組合につなげる
神津・連合会長の“このまま日本経済がしぼんでいいのか!”との危機感を共有したい。1990年代後半以降、企業の収益や株主配当が拡大基調で推移する中、労働者への分配が置き去りにされてきたことが、「経済の好循環」を阻害する大きな要因であったことを踏まえれば、「月例賃金の改善の必要性」について、『社会の公器』である企業側は認識すべきであり、組合側の自制的要求に対する賢明な“判断”と“英断”に期待したい。
いずれにしても、情報労連傘下の各構成組織は、今次春闘においても、『労使自治』に基づく交渉を強化してきたところであり、全国単組(NTT労組・通建連合・KDDI労組)を中心とする各交渉単位が、3月12日(ヤマ場)での決着をめざすこととなる。
要求の実現に期待するとともに、その結論をその後の中小組合を含めた取り組みへとつないでいきたい。