巻頭言2020.08-09

コロナ禍における政治の役割

2020/08/17

コロナ禍における政治の役割

「2020年度本予算」とともに、三つの「補正予算」が可決・成立した『第201通常国会(6月17日閉会)』。20年度の歳出額は、160兆円超にも及んでいる。

衆・参の委員会審議においては、与野党を問わず「コロナ禍の非常事態」を連呼し、未曽有の感染症に対する立法府(政治)の役割発揮が求められる国会となったが、「緊急事態宣言」の全面解除(5月25日)以降も新規感染者の増加に歯止めがかからず、事態の収束が見通せない状況の中で、多くの国民の意思が、会期の延長による課題の見える化と、政治主導によるスピード感を持った対処であったことは言うまでもない。

にもかかわらず、国会の最終盤、野党が提出した「会期延長動議」を否決し、「閉会」をゴリ押しした政府・与党の対応は、まさしく“責任放棄”の何物でもなく、この間の、感染症対策や各種支援策のドタバタ劇をはじめとして、今日の「緊急事態宣言」時を上回る新規感染確認の状況や、「2020年7月豪雨災害」への対応等を見るにつけ、改めてその思いを強くするところである。

また、自国民に対し、自らの言葉で語りかける諸外国の政治リーダーがいる一方で、閉会以降、コロナ禍や大規模自然災害に遭遇し不安を抱えている国民に対し、何らのメッセージも発しない安倍首相の姿勢は、やがて8年を迎えようとしている第2次安倍政権(一強政治)が及ぼす弊害に他ならず、国難に立ち向かおうとする熱意を含め日本のトップリーダーとしての資質について、強い疑念を持つものである。

足元の国難を乗り越え、「ウィズ・コロナ」の新たな日常の創造が求められる今日、政治の果たすべき役割が格段に高まることは自明であり、その責任が、国民の付託を受けた政治家はもとより、私たち有権者の側にあることを忘れてはならない。

立憲・国民両党の「力合わせ」を

このような中、連合においては、第11回中央執行委員会(8月28日)での決定に向け『第49回衆議院選挙の基本方針』の策定論議が進められているが、先日来、その方針に大きな影響を及ぼす『野党合流』の動きが表面化し、当該の政党内論議とともに、政党間協議・調整が急ピッチで進められているところである。

この流れは、本年1月に「合流協議」がいったん立ち消えとなった以降も、第201通常国会において「共同会派」による連携した行動等を通じ、“合流”への機運が醸成されたことを反映したものであるが、衆議院の任期が1年余となる中、少なからず、今秋とも噂される解散・総選挙を意識した動きであることは言うまでもない。

現行選挙制度(小選挙区・比例代表並立制)のもとで、国権の最高機関である国会において、より多くの所属議員を擁し、健全で緊張感のある政治を実現するための動きであり、巨大与党に対峙する大きな塊となるためのラストチャンスでもある。「立憲民主党」「国民民主党」「無所属」の組織内・重点国会議員を擁する情報労連としては、これらの動きを「是」とした上で、早期の「心合わせ」と「力合わせ」を切望したい。

野田 三七生 (のだ みなお) 情報労連中央執行委員長
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