特集2021.06

ジェンダー平等に向けてビジョンを共有する
職場で、労働組合で、何をめざすのか
若者たちはどんな社会をめざすのか
声を上げれば改善できる社会へ

2021/06/14
森JOC会長の女性差別発言に対して、若い世代が署名活動を展開した。若者たちはどんな社会をめざすのか。署名の呼び掛け人の1人である能條桃子さんに聞いた。
能條 桃子 一般社団法人
NO YOUTH NO JAPAN代表

──日常の中でジェンダーバイアスを感じることは?

例えば、進路指導の際、女子学生だけ育休を取りやすい会社を選ぶべきと助言されます。家事・育児は女性が担うべきと言われているように感じます。

ほかにも、イベントなどに登壇した際、発言を控えて男性に譲ってしまうことがあります。自分の性格のせいかもと思う半面、女性だから譲っているのかもしれないと思うこともあります。

──ジェンダーバイアスに違和感を持つようになったきっかけは?

デンマークに留学したとき、女性の友人(デンマーク人)の部屋が散らかっているのを見て、「女性の部屋はきれいな方がいい」という自分の考え方が偏っていることに気付きました。デンマークでは、女性だからこういう風にふるまってほしいと求められることがありませんでした。

──日本では、声を出しづらいと感じることはありますか?

私の場合、そうでもありません。同級生の子たちにジェンダーの話をすると、「なるほどね」と理解を示してくれます。女性より男性の方が上回っていると考えている人は私の周りにはいません。親の世代よりも男女平等の教育が進んだことも影響しているのかもしれません。ただ、男性の中に女性が一人だと発言しづらいことはあります。

──JOCの森会長の発言があった後、すぐに署名活動を展開しました。

あの発言は、私たちの世代からすると完全にアウト。私だけが思っているのではなく、周りのほとんどの人がおかしいと思うだろうと感じました。今の時代に合わないし、オリンピック・パラリンピックの理念に沿っても適切ではありませんでした。

ただ、これまでは、そうした発言があってもテレビで2〜3日報道されるだけで、問題が繰り返されてきました。だから今回は、森会長個人を責めるというより、組織としてあのような発言が生まれてしまった環境や背景を問題視し、再発防止策などを求めた方がいいと思いました。署名活動で怒りの数を可視化し、世論喚起をすることで、社会全体の問題として向き合うべきだと考えました。

──結果的に15万筆を超える署名が集まりました。

性別や世代を超えて賛同が集まり、多くの人たちと問題意識を共有することができ、心強く感じました。声を上げてみて、同じ思いを抱えている人は思ったよりもたくさんいると実感できました。

また、署名活動やその後のJOCへの要請活動などを通じて、声を上げたら変えられることがあると実感しました。

あのような発言をすれば責任を取る必要があるという前例をつくれたことは一歩前進だと思っています。一つの成功体験になりました。

同時に、ジェンダー平等に関して、日本でも何十年も前から活動している人たちの存在の大きさも知りました。そうした活動があったから、あの発言があったときにおかしいと反応できたのだろうと感じました。

──もっと声を上げやすくするために必要なことは?

どうやって声を上げるのかという手法を習っていないことが大きいと思います。小さなことでも成功体験を積み重ねることが大切だと感じています。

──どんな社会をめざしますか?

声を上げれば、社会や状況をよくしていけると思える人が増えていけば、社会はもっとよくなっていくと思います。

私自身も女性蔑視的な考えをしてしまうことはあるし、間違った発言をすることもあります。間違った発言をしてしまうことを前提に、それでも、間違いを繰り返さないために、学んだり、立場の弱い人の話を聞いたりすることが大切なのではないかと思います。

ジェンダー平等の面では、政治分野の男女平等を進めたいと思っています。意思決定層になぜ女性がこんなに少ないのか。「NO YOUTH NO JAPAN」の活動を通じて、若い世代にわかりやすい情報を届けていきたいと考えています。

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