特集2021.06

ジェンダー平等に向けてビジョンを共有する
職場で、労働組合で、何をめざすのか
意思決定の場への女性参画を促す
女性組合役員の育成強化を

2021/06/14
情報労連は、多様性が尊重される職場や組織、社会の実現に向け、どのような取り組みを進めていくのか。取り組みの意義を共有し、実践していこう。
齋藤 久子 情報労連政策局中央執行委員

「ダイバーシティ推進月間」

情報労連は、第52回定期全国大会(2013.8.1)において「情報労連・第2次男女平等参画推進計画」(以下、「2次計画」)を決定して以降、計画に基づく取り組みを約8年間にわたり進めてきました。2次計画には、運動方針への明記をはじめ、組合活動や執行機関、議決機関への女性参画率向上に向けた数値目標等を掲げ、取り組みを促進してきたところですが、組織により濃淡はあるものの、組織総体としてはいずれの目標も未達の状況にあります。

情報労連は、男女平等参画を推進するとともに、誰もがその個性と能力を十分に発揮できる、多様性が受容される社会や組織、職場をめざす観点から、6月を「ダイバーシティ推進月間」と位置づけ、「2次計画」の着実な前進に向けた取り組みを強化することとしています。各組織には、「2次計画」と照らして組織実態を点検し、具体的な取り組みを加速させる期間としていただきたいと思います。

職場を男女平等の視点から捉えてみる

男女平等参画の取り組みに対して、「昇進(あるいは組合役員への選出)に消極的なのに、なぜ女性ばかり登用するのか」、「数ありきの取り組みになっているのではないか」といった違和感を覚える方もいるかもしれません。しかし、男女平等参画の本質は、意思決定の場に女性が参画していくことで、これまで見逃されてきたさまざまな課題が意思決定に反映され、誰もが働きやすく、公平・公正な職場・社会づくりに寄与していくことにあるということ、そしてそのためには、女性の参画を促進する積極的な取り組みが求められるということを、改めて強調しておきたいと思います。

男女平等の視点の重要性は、図らずもコロナ禍でより鮮明になりました。緊急事態宣言下における一斉休校等は、女性の家事育児負担を増大させ、長期的な就業率の低下を招いています。一見、性別に関係ないと思われる一つの措置が大きな影響をもたらすことがあり、平時から、さまざまな課題を男女平等の視点から見つめる必要性が再認識されています。

このことは、政府の政策決定のみならず、職場や労働組合をはじめ、社会のあらゆる分野にも共通する課題だと考えます。職場において男女間格差が見られる分野がどこにあり、それは何によって生じるものなのか──配置、育成、評価、任用の偏りや働き方の違い、労働慣行や職場風土など、男女平等の視点から点検し、一つひとつ改善していくことが求められています。

労働組合の意思決定の場にも女性の参画を!

これらの職場の課題に取り組むためにも、組合への女性の参画を促進し、意思決定の場に参画する女性役員を増やすことは喫緊の課題です。まずは、一人でも多くの女性に参加を呼び掛ける、あるいは、女性役員に対して積極的に育成機会をつくるなど、取り組みを着実に進めていくことが重要と考えます。

本年、中央本部では、ダイバーシティ推進月間の一環として、女性役職員等を対象に、キャリア意識・意欲の向上の観点からオンライン研修の開催を予定しています。組合活動に携わる女性役職員が、より一層裁量と権限を高め、意思決定の場に自信をもって参画していくためには、女性自身が持つ無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)と向き合い、行動変容を起こしていくことも重要との思いから実施することとしました。

情報労連は、これらの取り組みを積み重ね、多様性が尊重される職場や組織、社会の実現に向け、運動を展開していきます。

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