巻頭言 UNITE2021.12

第49回衆議院議員選挙の結果を受けて

2021/12/15

第49回衆議院議員選挙が終わった。情報労連が推薦・支持した候補者228人のうち106人の当選にとどまる結果となったが、厳しい選挙情勢の中で、組織内候補「岡本あき子」「たじま要」、重点候補「やまのい和則」を含む12人が見事当選を果たすことができた。加盟組合・県協の役職員、組合員・退職者の皆さんが、各地で日夜懸命に取り組んだ賜物であり、深甚からの敬意と感謝を申し上げる。

今回の選挙は、政府の失策続きのコロナ対応や停滞する経済、露呈した社会システムなどの脆弱性の立て直しなどを問い、今後の国の運営を託す政権選択の選挙であった。しかしながら、政治不信の表れなのか、国民の選挙への関心は高まらず、戦後3番目に低い投票率となった。その結果、自民党は単独で絶対安定多数の議席を確保する一方で、立憲民主党は、217の選挙区で野党候補者の一本化を図り、自公との1対1の構図を作りあげ、選挙戦へ臨んだものの、自公政権に対する不満の受け皿にはなりえず、議席を減らす厳しい結果となった。

労働組合の立場から、次の参議院選挙に対応するにあたって、立憲には、2点の課題について提起しておきたい。ただし、あくまで政党が判断すべきことは言うまでもない。

一つは、野党共闘についてである。現行選挙制度をみれば、与党と対峙するために野党の候補者一本化はあり得る戦術だろう。ただし、今回のような国の根幹部分の基本政策が違う共産党との連携は、立憲の政治の立ち位置と政権構想をわかりづらくしたのではないだろうか。一定の効果はあったと思われるが、当然それを忌避した有権者もあり、それが第3極の浮上にもつながり、比例議席の減となったのではないか。また、相手陣営からは、格好の攻撃材料にもなった。

参院選へ取り組み強化

もう一つは、解散から選挙まで17日間という戦後最短の期間になったとはいえ、任期満了を超えるまでの期間があり、選挙戦略・戦術、候補者擁立や政策確立・発信、選挙区での地道な活動など、十分な準備ができていたのか。新たな代表のもと、徹底した検証を求めるとともに、挙党態勢による党の再建を期待する。

連合においては、基本方針に基づき取り組みを展開したが、立憲と国民の二つに分かれていることで、組織の置かれた立場や事情においてさまざまな課題が生じ、推薦候補の取り組みを難しくしたのは否めない。しかしながら、すべての働く人の立場にたつ政治の実現のためには、連合の政治力は弱めてはいけないと認識するものであり、組織一丸となって力を発揮できる環境を整える必要がある。

情報労連は、今後の政治活動を進めていく上で、今次選挙における組合員の投票動向や政治思考を把握し、対策していくことが非常に重要になることから、組合員アンケートを全組合員(NTT労組除く)対象に早急に取り組むこととする。アンケート結果を分析し、来夏の参議院選挙の取り組み強化につなげていく。特に、立憲民主党の厳しい情勢をみれば、比例代表の組織内候補「石橋みちひろ」にとって、とても厳しい選挙になることは確実である。情報労連の組織の総力を結集しなければ勝利はつかめない。

安藤 京一 (あんどう きょういち) 情報労連 中央執行委員長
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