巻頭言 UNITE2022.04

ロシアのウクライナへの軍事侵攻戦争反対を強く訴え、
難民支援等を展開

2022/04/13

蛮行を強く非難

青色と黄色に配された「ウクライナ」国旗。「青色は青空」「黄色は小麦畑」を意味するという。ミサイル攻撃等で上がる黒煙、がれき・廃虚と化した建物、この1カ月間映し出されている光景である。苦難の歴史をたどり国旗に込められて願いとは正反対の悲劇が襲っている。そして、この旗が、世界各地で「戦争反対」と、一日も早い平和を願う声とともに大きく振られている。

本稿執筆時点は、ロシアがウクライナへ武力侵攻してから1カ月となる。これまで両国間で何度か停戦協議が進められているが、合意に至らず、長期化の様相を呈している。ロシアの無差別攻撃は、日ごとに激化しており、一般市民を狙った攻撃が増し、犠牲者が増えている。国連などが把握した3月23日までのウクライナの被害は、民間人の死者が少なくとも1035人に上り、子どもも121人亡くなっている。国内外への避難民は1000万人を越えるという。実際は、これよりもかなり多いとみられる。ロシアは「核兵器」や「生物化学兵器」使用を声高に言及しはじめており、最悪の事態におよぶ可能性すら出てきている。

主権国家を武力により一方的に侵略し、子どもを含む多くの民間人へ容赦なく無差別攻撃を繰り返すロシアの行為は、断じて許すことはできない。ロシアの蛮行に激しい憤りを覚えるものであり強く非難するとともに、即時軍事行動を中止し、ウクライナからの撤退を求める。

主権者としての役割

しかもロシアは、国連の常任理事国であり、圧倒的な力を保持する大国が、集団安全保障と自衛権行使の場合を除いて武力行使を禁じる国連憲章を踏みにじり、非戦闘員や学校、病院などへの攻撃も国際法違反である。人類が愚かな戦争を繰り返し、多くの悲しみや犠牲の中から、世界各国の努力と協調により、国際ルール、国際秩序を築いてきた。このような力で強奪できる前例を作ってしまえば、国際秩序を崩壊させ、再び列強国による侵略が跋扈しかねない。

日本も地政学的に人ごとでは済まされない。だからといって、軍備拡張、9条見直しや緊急事態条項を盛り込む憲法改正を唱える議論に安易にくみしてはならない。あろうことか「核兵器共有」を提唱する為政者すら登場している。冷静な対応が必要であろう。

ロシア国内では、身の危険があるにも関わらず、ウクライナ侵攻に反対の声を上げる勇気ある人たちが行動を起こしているが、独裁者と化しているプーチン大統領は、強権力で次々と弾圧している。

自由と民主主義に対する挑戦であり、国際社会が結束して国際ルールに基づき、ロシアに立ち向かわなければならない。そのためには、主権者である一人ひとりが「戦争反対の声」を上げていくことが大切であり、労働組合もその一翼を担い、一緒に行動を起こしていかなければならない。

情報労連は、この間、駐日ロシア大使館への抗議文の提出、「戦争反対」アピールボードの展開、多くの難民支援を目的とした緊急カンパを取り組んでいる。加盟組合の皆さんの積極的協力を要請したい。UNIや各団体とも連携し、ウクライナの一日も早い平和な日常が取り戻せる対応に引き続き取り組む。

安藤 京一 (あんどう きょういち) 情報労連 中央執行委員長
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