特集2025.07

女性を巡る多様性と「壁」
立場の違いとそれぞれが直面する課題
労働組合の意思決定の場に多様な声を!
「第2次ジェンダー平等推進計画」(案)のポイント

2025/07/14
情報労連は、向こう5年間の新たなアクションプランとして、「第2次ジェンダー平等推進計画(2025〜2029年度)」(案)を策定し、7月末の第64回定期全国大会での提起を予定している。齋藤久子中央執行委員がポイントを解説する。

1998年から取り組み

情報労連は、1998年に「男女平等参画社会の実現」を掲げて以降、2次にわたる推進計画(2009〜2020年度)を経て、現在は「ジェンダー平等推進計画(2021〜2024年度)」に基づき取り組みを進めています。各組織の地道な創意工夫により長期的には前進が図られてきましたが、2024年度末(2025年7月末)に期限を迎える現行計画の進捗については、多くの目標で未達となっています。

こうした状況を踏まえ、情報労連は、現行計画(2021〜2024年度)に続く向こう5年間の新たなアクションプランとして、「第2次ジェンダー平等推進計画(2025〜2029年度)」(案)(以下、「2次計画」(案))を策定し、第64回定期全国大会(2025年7月31日開催)での提起を予定しています。

「2次計画」(案)のポイント

情報労連は、「2次計画」(案)において10の運動目標を掲げています(表)。

とりわけ、本計画では、議決機関や執行機関において、最終的には男女同数の参画をめざすことや、三役への女性の登用など、情報労連全体から見れば極めて高い目標を新たに盛り込んでいますが、最も重要なことは、数値のみを追い求めることではなく、ジェンダー平等が職場・組織・社会において実質的に進んでいくことにほかなりません。中央本部としても、各組織における具体的な取り組みを促進する観点から一層の支援強化に取り組む予定です。

また、ジェンダー平等の推進は、担当者や女性だけが頑張ればよいというものではなく、組織全体を巻き込んだ実効性ある取り組みが必要不可欠です。取り組みを一層推進する観点から、トップリーダー自らがメッセージ発信していくことも目標の一つに掲げています。

誰もが参画できる組合活動をめざして

情報労連の調査では、多くの組織において「女性組合員が少ない」「家庭との両立が困難」「ロールモデルがいない」ことが、女性役員の登用を妨げる要因となっていることが明らかになりました。実際に、組合役員就任を打診しても、家庭の事情などを理由に辞退されるケースが多く、拘束時間の長い活動への参加が難しいという現状があります。

しかし、労働組合において女性の参画が少ない現状(過少代表)を放置するわけにはいきません。意思決定の場に女性が増えることにより、多様な考え方が反映され、賃金や雇用形態、昇進における男女間格差やハラスメントの課題、そしてこれらの背景にあるアンコンシャス・バイアスの存在や女性に偏る家事育児負担など、これまで中心的になりにくかった課題についてより一層重視されていくことが期待されます。また、職場や労働組合、社会の持続可能性を高めるには、組織の中に多様な視点を取り入れ、誰もが多様性を認め合い、お互いに支え合うことのできる職場・社会の実現が求められます。労働組合の意思決定の場において女性の参画を拡大していくことは、女性に関する課題にとどまらず、多様な人材が働きやすい職場づくりやワーク・ライフ・バランスの充実に向け、働き方をはじめとするさまざまな事項に多様なニーズが取り込まれる契機ともなり得ます。

ジェンダー平等の推進は、「女性のため」ではなく、「すべての人のため」の運動です。誰もが公平な環境で働き、能力を十分に発揮できる社会・職場の実現に向けて、多様な人が参画できる組合活動をめざし、「2次計画」に基づく取り組みを推進していきます。

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