特集2025.10

仲間を増やし組織を強くする組織拡大は「組織の生命線」
「25万労連の実現」を追求

2025/10/14
労働組合の発展には、労働者の結集による組織拡大の取り組みが欠かせない。情報労連は2025〜2026年中期運動方針で「25万労連の実現に向けた取り組みの追求」を掲げた。取り組み方針を報告する。
堀田 真吾 情報労連組織局中央執行委員

組織拡大(仲間づくり)の重要性

情報労連は、第64回定期全国大会で2025〜2026年中期運動方針を決定し、五つの運動の重点を設定し、その一つとして、「25万労連の実現に向けた取り組みの追求」を設定しました。

そもそも、なぜ組織拡大が重要なのでしょうか。まずはその点について述べたいと思います。労働組合の最大の目的は、労働者の権利を守り、労働条件の維持・向上を図ることです。労働基準法第2条では、労働条件の決定において、労働者と使用者が対等の立場で決定することが定められていますが、果たして労働者(個人)が使用者と対等の立場で労働条件の交渉ができるでしょうか。

法律では対等と明記しているものの、日本の労働市場の実態は、使用者が人事権・指揮命令権を所持しており、このことを踏まえると、労働者(個人)が使用者と対等に交渉するということは、非常にハードルが高いといえます。

その意味では、労働条件に関する問題等については、労働組合(組織)が使用者と交渉を行うことが非常に有効な手段の一つといえます。ただし、労働組合が所持する機能(例:集団的労使関係に基づく労使交渉等)を十分に活用するためには、労働者が労働組合に結集(加入)してもらうことが必要です。また使用者との労働条件の交渉だけでなく、社会貢献活動や福祉活動など、労働組合としての機能の維持・発展には、労働者の結集による組織拡大(仲間づくり)が「組織の生命線」と言っても過言ではありません。

その意味で、組織拡大(仲間づくり)は、組織にとって、非常に重要な取り組みといえます。

2025年度組織拡大(仲間づくり)方針

「25万労連の実現に向けた取り組みの追求」を情報労連運動の重点の一つとして設定しましたが、まずは昨年度までの目標であった「20万労連」の早期達成を果たすことが重要です。そのためには、中央本部そして情報労連に集う各組織が、2024年度までの取り組みを総括し、2025年度の取り組みにつなげていく必要があります。

2025年度の具体的な取り組み目標等は、各組織と中央本部で連携を密にし、個々に設定していくこととしますが、情報労連としての、組織拡大方針の「基本的な考え方」や「取り組みの重点」は、次のとおりです。

2025年度年間活動の進め方(抜粋)

【基本的な考え方】

①中央本部は、仲間づくりが情報労連運動のすべての取り組みに通ずる「組織の生命線」であるとの認識の下、強い危機感と覚悟と決意をもって、結果を出すことに強くこだわる仲間づくりに取り組み、「20万労連の必達」とその延長線上にある「25万労連の追求」につなげる。

すべての加盟組織は、仲間づくりが「組織の生命線」のみならず、集団的労使関係の裾野を広げる最も重要な取り組みであるとの認識の下、20万労連の早期達成に向け、組織化目標・行動計画を着実に実践するための組織拡大推進体制を強化する。

【取り組み重点】

①すべての加盟組合は、それぞれの役割と責任の下、対置する企業に直接雇用された未組織労働者の組織化を徹底・強化し、安定的な集団的労使関係の確立に向けて粘り強く取り組む。

②本部加盟組織は、仲間づくりの中心的な役割と責任を担う組織として、新卒採用者や経験者採用者への着実な加入促進に加え、「未組織グループ会社」および「60歳超の再雇用者を含む有期契約労働者」の組織化に主体的に取り組み、当該企業グループにおける集団的労使関係の拡大を図る。

とりわけ、「未組織グループ会社」に対しては、課題等に応じて中央本部・全国オルグが要請に基づき必要な支援を行うとともに、❶ターゲットの絞り込みと親会社との労使関係強化、❷グループ会社のM&Aや組織・事業再編時等での効果的な組織化事例を踏まえた取り組み──を展開する。

③ブロック支部は、当該エリアにおける組織拡大の責任主体として、組織拡大・仲間づくりの重要性について、県協と徹底した意識合わせを行い、加盟組合の「過半数確保」および「完全組織化」の取り組みを強化し、安定的な集団的労使関係の確立を目標とするとともにブロック支部加盟組合がない県協における組織化をめざす。

また、組織拡大を目的とした「支援強化組織」については、全国オルグとの連携を強化し、組織状況に応じた戦略的な仲間づくりを実施する。

④中央本部は、「組織拡大推進委員会」を適宜開催し、成功事例の水平展開や組織拡大のノウハウなどを共有するとともに、組織的な仲間づくり戦略や方針の議論を行い、本部加盟組織・ブロック支部と連携してターゲット企業への具体的な取り組みを実践する。加えて、個別に課題等のヒアリングを実施し、各組織の実態に即した組織拡大戦略を確立する。

また、全国オルグは、「支援強化組織」をはじめとする加盟組合の組織拡大に注力するとともに、ターゲット業種(情報通信業・情報サービス業・通信建設業)を基軸に、地方連合会等との連携をこれまで以上に強化するとともに、業界団体との関係性を構築し、新規結成・加盟につなげる。

■  ■

これらの【取り組み重点】を基本に、各組織で具体的な組織拡大戦略を確立し、実践につなげていくこととします。

おわりに

私たち情報労連の置かれた現状は、「組織人員」の減少に歯止めがかからず、今後の組織運営にも大きな影響を及ぼしかねない状況です。仲間づくりは、組織運営の屋台骨となる取り組みです。情報労連の仲間を増やすには、私たちの日頃からの取り組みに対して、信頼と共感を得ることが必要です。そのためには、労働組合が旧態依然の活動から脱却し(変えるべきことは変えていく)、世の中の動向等も踏まえた取り組みを展開し、労働者にとって「身近な存在」になることが重要です。

今後、組合員や多くの働く仲間に寄り添った「顔の見える」取り組みを展開していくために、中央本部は、本部加盟組織やブロック支部と連携し、組織拡大・組織強化につながる具体的取り組みを検討・確立していきます。

特集 2025.10仲間を増やし組織を強くする
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