トピックス2015.11

石橋みちひろ議員「安保国会」を振り返る

2015/11/16
安倍政権の暴走が止まらない。国民一人ひとりの暮らしに向き合わない、民主主義・憲法無視の政治は、国民生活を犠牲にするばかりだ。国会で「権力の暴走を止める闘い」の先頭に立ってきた「石橋みちひろ」参議院議員に通常国会を振り返ってもらうとともに、今後の闘いの展望を聞いた。
石橋 みちひろ 参議院議員
2016年参議院議員選挙・情報労連組織内候補

野党を後押しした声援

安保法制の審議では、民主主義のルールを無視した安倍政権の独善的な政治手法が浮き彫りになりました。安倍政権は安保法制の成立ありきでスケジュールを組み立て、国民の反対の声や説明が不十分という声をすべて黙殺し、「強行採決」を断行しました。

安保法案への反対の声は、憲法学者が次々に違憲の見解を示したころから広がり始め、その声は次第に大きくなり、国会の周りや全国各地から何十万、何百万もの民意が届けられました。私自身、その声援に大きく励まされ、勇気づけられました。野党もその声援に後押しされてこそ結束して闘い抜けました。

特に象徴的だったのが、9月16日の深夜のことです。強行採決を阻止するために、私たちは8時間以上にわたって国会議事堂の理事会室の前で抗議を続けました。その間、議事堂の外から途絶えることなく応援の声が聞こえてきました。闘いは明け方まで続き、足が棒のような状態になりながらも最後まで踏ん張って、その日の採決を防ぐことができました。それができたのも国民の皆さんからの声援があったからなのです。安保法案に反対の声をあげ、応援いただいた皆様にあらためて感謝申し上げます。

国民軽視の態度は明確

現行憲法下で、「絶対に行使できない。行使するのであれば、憲法を改正するしかない」とされてきた集団的自衛権の行使を可能にした今回の安保法案の強行採決は、平和主義だけでなく、立憲主義や民主主義の観点からも日本の将来に禍根を残す暴挙です。国(政府)は、憲法前文などに記された平和的生存権を前提に、国民の生命、自由、幸福追求権を確保しなければなりません。それを、政府が勝手に憲法解釈をねじ曲げ、自衛隊の海外派兵を可能にしてしまったことは、むしろ、国民一人ひとりが持つ平和的生存権をないがしろにすることであり、国民の生命を守ることにはつながりません。国をつかさどる政治は、憲法に則り、憲法の規定に従うことで、日本の平和を守り、国民の安全を確保しなければならないのです。

今回の安保法案については、専門家や憲法学者、歴代の内閣法制局長官、そして最高裁判所の元長官や元判事までもが、憲法違反と明言しています。また多くの国民も、憲法に背く安保法案に反対の意思を示しました。戦後70年にわたって貫いてきた日本の平和主義の政策を根底から転換させる大きな変革にもかかわらず、国民的な理解もないまま、強引に採決に及んだのです。安全保障という国の根幹にかかわる問題こそ、国民の広い理解と支持が必要です。今回のように、国民の信頼を得ないまま成立した法律では、むしろ安全保障の不安定化をもたらすでしょう。

また、今回の安保法案は、採決方法でも禍根を残しました。9月17日、参議院の安保特別委員会において、委員長席に殺到し、鴻池委員長を二重に取り囲んで議場を騒乱に陥れたのは、実は与党議員たちでした。野党議員は、何が行われているかまったくわからないまま、与党議員は事前に示し合わせた筋書き通りに「強行採決」を実行したのです。委員会が正式に開会しておらず、委員会の議事録が存在しないため、何の採決が行われたのか、誰が賛成・反対したのかもわかりません。野党委員は採決に参加できず、表決権を奪われたのです。このように、議会のルールを完全に踏みにじるやり方で、しかも「強行採決」がされたとつくり上げてしまうことは、安倍政権がいかに民主主義を、国民を、そして憲法を軽んじる態度を貫いているかを見事に表しています。

暮らしを犠牲にする政権

安保法案の「強行採決」でつくづく感じたのは、安倍政権が今や、国の発展を安全保障政策にリンクさせるかたちで進めていこうとしていることです。武力を強化したり、武器を輸出したりする「強い国」が、経済の成長や国家の発展につながるとする姿勢です。

一方で、安倍政権は、働く者や生活者の暮らしを犠牲にしようとしています。その際たるものが、労働者派遣法の改悪です。“企業が世界一活動しやすい国”を標榜する安倍政権は、企業が正規雇用を派遣雇用に置き換え、労働者をより低賃金で使いやすくするために派遣法改悪法案を成立させました。派遣労働が拡大し、固定化すれば、雇用の不安定化がますます拡大します。そうなれば、正社員の雇用や労働条件にも影響を及ぼし、日本経済の成長をむしろ鈍化させることにつながってしまうのです。

労働者の犠牲の上に立つ企業の成長や社会の成長はあり得ません。労働者をないがしろにする労働政策は、日本の将来にとってマイナスの影響しか与えません。今やるべき政策は、労働者の雇用を安定化し、きちんと働けば、きちんと暮らしていけるという当たり前の社会へと導くこと、つまり、労働法制を規制強化することなのです。

「アベノミクス」への評価

安倍首相は「アベノミクスは第2ステージへと移行する」と宣言し、新たに“新3本の矢”を打ち出しました。しかし、「旧3本の矢」への総括と評価、振り返りも一切ないまま第2ステージへと移ると言われても、納得できる国民はいないでしょう。

「アベノミクス」の「旧3本の矢」は、大胆な金融政策を打ち出したものの、実体経済への効果はほとんどありません。一部の大企業や富裕層がより豊かになり、貧富の格差が拡大しただけです。国民全体の生活は、むしろ円安による悪い物価上昇の中で悪化してきたというのが、この2年半の総括だと思います。

今回の「新3本の矢」では、3本目の矢にいきなり社会保障を掲げ、「介護離職ゼロ」を唱えてきました。しかし、これまでの安倍政権の社会保障政策は、介護報酬の切り下げや利用者の負担増をはじめ、明確に、国の予算を削り、国民の負担を増やす方向へと舵を切ってきたのです。この2年半でやってきたことと、今回打ち出した社会保障のスローガンとでは、大きな隔たりがあります。国民にとって聞き心地のよい言葉をちりばめるやり方は、安倍政権の常套手段です。そのことを多くの人に訴えていかなければなりません。

ICT産業のさらなる発展へ

今後、注力すべき政策の一つに情報通信(ICT)の利活用の促進があります。情報ネットワーク社会の21世紀において、国民生活を支え、日本経済の成長を支える観点からも、ICTの発展はなくてはならないものです。

IoTやIoEを基盤にして、ヒト、モノ、情報のネットワーク化を進めることで、これまで不可能とされたサービスが提供できるようになります。それを促進することで、行政サービスや医療・介護、教育、環境・エネルギー、防災・減災など、国民生活に密接にかかわるさまざまな分野で国民の未来を支えることにつながっていきます。目標は、国民の命を守り、暮らしを豊かにすることです。

情報通信、ICTの発展は、情報労連の組合員の皆さんも期待されている分野だと思うので、政策の柱としてさらに前進させていく考えです。

暮らしを中心にした政治を

民主党は、あらためてその存立の原点に立ち返り、国民一人ひとりに寄り添った政策をしっかりと打ち出して、あらためて国民からの信頼と期待の回復に全力を挙げるべきです。

今後の動きとしては、まず、安保法制に対する新たな戦いに臨んでいきます。違憲の安保立法を断固として使わせない、そして、廃止へと追い込む法案を出していかなければなりません。廃止に追い込むためには、野党の連携を強化し、最終的に国会で過半数の勢力を形成する必要があります。まずは野党が共闘しながら、来年の参議院選挙で自民党・公明党を過半数割れに追い込むことが、私たちに課せられた大きな役割だと考えています。

次期参議院選挙で勝利するためには、民主党が国民への明確なメッセージを発信しなければなりません。安倍政権が進めてきた政策や、めざすべき国の方向性との違いをはっきりと、わかりやすく伝える必要があります。

現在、日本社会が抱える最大の課題は貧困と格差の拡大です。子どもの貧困率は16.3%に及び、6人に1人が就学援助金の補助を自治体から受けながら教育を受けている状況です。この数値は先進国では最悪のレベルです。

また、生活保護の受給者の増加にも歯止めがかからず、“下流老人”などという言葉すら出てきてしまっています。政治がこの状況を放置し続ければ、格差はさらに広がり、5年後、10年後はさらに状況は悪化し、すべての国民の暮らしに影響が及んできます。

私は民主党が2009年の政権交代前に打ち出した「コンクリートから人へ」や「チルドレン・ファースト」など、国民生活を中心に置いた政策が間違っていたとは思いません。安倍政権の政治は、国民一人ひとりに向き合わない、国力増強優先の政治です。民主党は、国民一人ひとりの暮らしや生活に焦点をあてた政治を実現していくこと、そして、自民党とは異なる政治を行い、日本社会を変えていくことを、わかりやすいスローガン、メッセージで伝えていきたいと考えています。

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