渋谷龍一のドラゴンノート2017.07

あなたの年金?

2017/07/21

働いている間は自分で年金に入っているあなたも、出産等で退職したら夫の年金に入れてもらう形になることが多いと思います。「国民年金法」により、この場合の夫を、「第2号被保険者」、妻(実は夫でも良いけれど非常に少ない)を「第3号被保険者」と呼び、「第3号」である期間は保険料を払わなくても、保険料納付扱いになるからです。ただし、妻の年収が106万円以上になると多くの場合は「第3号」ではなくなり、自分で保険料を負担しなければなりません。

これがどんなことを意味しているかわかりますか。保険料を支払う羽目になって手取り額が減らないように106万円未満に抑えようとします。「106万円の壁」と呼ばれています。この壁が、女性を働かせないように、つまり家庭にとどめようとします。同じような問題は税金にもあり、夫の税金が高くなり、会社からもらえる手当がなくなるという壁があります。

自分のライフコースのはずなのに、個人ごとの制度ではなく、夫婦で一体の家族制度です。がっちり固定されているようで息苦しくないですか。自主的に夫とセットの夫婦単位でいるのではなく、そう強制されていて選べないのです。

こういう固定をされてしまうと、もし離婚を決断するとなると障壁になります。離婚すると損になることよりも、夫に扶養され夫の年金に入っている自分の立場を痛感して嫌になるのです。すごく腹が立つ、と皆そう言います。どうして女性を一人の人間と認めないこんな制度があるのだろうと、ようやく気付くのです。

離婚するわけないから、と考えなくて良いのでしょうか。離婚するしないにかかわらず、成熟した年齢になって、とても一緒にはいられないと思う夫の年金を当てにするのですか。夫をいくらでも悪者にして良いけれど、夫を当てにしなさい、という誘いからは逃げられない。そんな人生を歩むのか、それとも目分で年金保険料を払って自分の年金を持っているのか。どちらを選びますか。

渋谷 龍一(しぶや りゅういち) 労働ジャーナリスト
『女性活躍「不可能」社会ニッポン原点は「丸子警報器主婦パート事件」にあった!』(旬報社)で2016年貧困ジャーナリズム賞を受賞。
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