信頼なくして幸福なし
幸福度ランキングG7中最下位の日本
156カ国中54位(昨年51位・G7では最下位!)。
これは、「世界幸福デー(3月20日)」の前段(3月15日)に、国連が発表した「世界幸福度報告書」での日本の順位である。
2012年の発表以降、今年で6回目となる同ランキングは、ブータン政府の提唱(国内総生産〈GDP〉より国民総幸福量〈GNH〉を重視すべき)が起点となったと言われている。その基準は、(1)一人当たりのGDP(2)社会的支援の有無(3)健康寿命(4)選択の自由度(5)社会の寛容さ(6)社会の腐敗度─の6項目による。
今回もフィンランド・ノルウェー・デンマークなどの北欧諸国が上位を占め、大国であるアメリカ・ロシア・中国は、それぞれ18位・59位・86位。アジアでの最上位は台湾の26位となっている。
では、かつて「ジャパン・アズ・ナンバーワン」とも言われ、G7の一員でもある経済大国・日本が、なぜ54位の低位にあるのか。
確かに、調査項目を見ると「客観的統計に基づく評価」がある一方で、対象者の「主観に基づく調査」があり、とりわけ『主観的要素』においては、個人主義と絶対評価を重視する欧米に対して、集団主義と相対評価を重んじる日本の国民性が影響しているとの指摘については一定理解する。
しかしながら、近年では、職場における幸福度としての収入や雇用形態をはじめとして、職種・業種、ワーク・ライフ・バランス、自主性の有無、そして、精神疾患や心の病なども分析の対象になっているとのことであり、特に「人生における自由度の低さ」や「将来不安の増大」─等、日本の現状を如実に反映した『幸福度』であるとの指摘については、真摯に受け止めなければならない。
改ざん・隠ぺい……信頼なくして幸福なし
加えて、『社会の腐敗度』に照らして昨今の日本を見た時に、そのことを象徴するかのような事象が続発。民主主義の根幹を揺るがす政治の混迷や、隠ぺい・談合等を繰り返す企業の不祥事は、国民や顧客の『信頼』を大きく毀損しており『幸福度』の数値・評価が高まるはずもない。
国会においては、3月27日、ようやくにして佐川前理財局長の証人喚問が実施されたが、森友学園問題を巡るこの1年の国会論戦は何であったのか。
先月来、某新聞社のリーク記事以降明らかとなった「国有地取引に関する決済文書の改ざん」や、会計検査院に対する改ざんされた決済文書の提出をはじめとする、この間の財務省の所業については『言語道断』、立法府や国民に対する背信行為であり歴史的重罪であることは言うまでもない。
国民の約7割が「首相の説明に納得していない」と答えている。「行政府の最高責任者として責任を痛感する」とのフレーズを繰り返すのであれば、今こそ「誰が・誰の指示で・何のために改ざんしたのか」全貌を明らかにし、政府・与党を含めた責任の所在についても早急に明確化すべきである。
失墜した政治・行政に対する『信頼』の回復・醸成なしに、『幸福度』の改善はあり得ない。