トピックス2019.04

統計不正問題の深層不正がまかり通るこの国の政治の危機的状況

2019/04/12
統計不正問題を野党はどのように追及しているのか。石橋みちひろ議員に寄稿してもらった。
石橋 みちひろ 参議院議員・
情報労連組織内議員

公的統計の危機は国民生活の危機!

統計法第1条には「(公的統計は)国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報である」と書かれています。政治が国民のための正しい政策を立案するためには、国民の生活や雇用、経済や生産現場の実状を正確に把握することが必要不可欠です。統計が信用できなければ、すべての政策が有効性を失ってしまうほど、統計は重要なのです。

一方で、「世の中には3つの嘘がある。嘘、大嘘、そして統計だ」(19世紀のB・ディズレーリ元イギリス首相の言葉とされる)と言われるように、統計は政治が都合よく国民を欺くためにも使われてきました。日本でも、戦前、統計が権力者の意のままに使われ、戦争に突き進んだ苦い経験があります。だからこそ、戦後の日本では、統計法を制定し、信頼ある公的統計の整備に努めてきたはずだったのです。

ところが今回、その公的統計が危機的な状況にあることが判明したのです。総務省の緊急点検では、56ある政府基幹統計のうち、なんと4割にあたる23統計に計34件の問題があり、22統計で統計法違反、つまり不正が疑われる事態となったのです。まさに、国民生活の危機だと言っても決して過言ではありません。

勤労統計調査不正の深層

発端となったのは、昨年末、厚生労働省が所管している「毎月勤労統計調査」という基幹統計で不正が発覚したことでした。

統計不正が発覚した結果、2004年以降、雇用保険や労災保険給付が過小に支給され、その対象者はのべ約2000万人、金額にすると537億5000万円に上ります。また、追加給付のために事務経費がなんと約195億円かかりますが、これらが労使拠出の労働保険特別会計から支払われます。厚労省の不正で発生した費用が労使の大切な拠出金から支出されるというのは、とうてい納得できる話ではありません。

また、2018年の現金給与総額や実質賃金指数などが大きくかさ上げ(水増し)されていました。2013年以降、安倍政権下で実質賃金が大きく低下していたにもかかわらず、昨年、なぜか突然数字が上向きになったのです。それを見て安倍首相は「アベノミクスの成功で雇用が良くなった」と主張し、「消費税率10%への引き上げ」の決定につながったわけですから、その影響の大きさは計り知れません。

安倍政権はなぜ本気で真相究明をしないのか?

不正を二度と起こさせないためには、徹底的な真相の究明と、責任者の厳正なる処分が必要です。私たちが国会で追及しているのもその点なのです。

しかしなぜか、安倍政権には、真剣に真相を究明しようという姿勢が見られません。

その最たる例が、根本厚生労働大臣が「第三者委員会」と得意げに設置した『特別監察委員会』です。厚労大臣の下に設置され、厚労省お抱えの有識者を中心に構成し、かつ厚労省の職員が事務局を務める委員会のどこが第三者委員会なのでしょう。案の定、ごく短期間かつずさんな調査の結果、「虚偽の説明はあったが隠ぺいはなかった」などと、誰もがあ然とする結論を導いたのです。

世論調査でも7割以上の国民がその結論に納得していないのに、根本厚生労働大臣もそして安倍総理も報告書にお墨付きを与え、幕引きを図ろうとしています。昨年、次から次へと公文書の改ざん、隠ぺい、ねつ造が発覚したにもかかわらず、いまだに真相究明がなされず、政治家が誰も責任を取っていないこととまったく同じ構図です。政権の政治姿勢の問題であり、だからこそ真摯に説明責任を果たすべきなのに、野党が求める参考人は呼ばない、資料は出さない、調査は結論ありきでは、とうてい国民からの信頼は取り戻せないのではないでしょうか。

公的統計の抜本的改革が不可欠

今回の統計不正の原因はさまざまありますが、特に以下の三つの重要なポイントがあると思います。

(1)政府内で統計が軽んじられた結果、予算や人員が削減され、専門性も欠如してきたこと

(2)基幹統計が各省庁の責任に委ねられ、分散した結果、政府全体としての品質管理ができなかったこと

(3)国民の間でも統計に対する意識・認識が相対的に低く、公的統計を監視する目が弱くなってしまっていること

立憲民主党では、これらの問題認識を踏まえて、党内にワーキングチームを立ち上げて徹底した議論を行い、「統計行政への信頼回復に向けた緊急提言」をまとめ、法案化を検討することとしました。その柱は、(1)「国家統計データ局(仮称)」の新設による公的統計の一元的管理化(2)統計への信頼回復のための組織と体制と専門性の強化(3)統計のあり方と調査手法の見直しと統計法違反の罰則強化─などです。もちろん、ICT技術の積極活用など、新しい時代の統計調査のあり方について具体的な案も盛り込んでいます。

毎勤統計をはじめとする基幹統計不正の徹底的な原因究明を進めつつ、一日も早く国民の信頼を回復できるよう、公的統計の再建を図っていきます。

予算委員会で統計不正問題を追及する石橋議員(3月18日)
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