特集2019.06

女性と労働組合「闘わないと要求は通らない」
全電通が展開した協約を守り、守らせる闘い

2019/06/10
労働組合の中で、女性リーダーはどう活動してきたか。全電通(現NTT労組)は、労働協約を守り、守らせることで女性が働き続ける環境をつくってきた。運動を支えた女性リーダーに聞く。
坂本 チエ子 元全電通中央執行委員
さかもと ちえこ 1961年、電話交換手として電電公社に入社。翌年に全電通古河分会の執行委員、64年に栃木県支部、65年に関東地本の執行委員。78年から89年まで全電通中央執行委員。その後、情報労連関東地協事務局長、電通共済生協担当部長。2002年から08年まで女性初の中央労働委員会の委員を務めた。

協約を守り、守らせる闘い

1961年、電話交換手として電電公社に入社しました。翌年に全電通古河分会の執行委員に、64年に栃木県支部、65年に関東地本の執行委員になりました。

当時、全電通の大きな問題は、電話交換機の自動化に伴う雇用問題でした。電話交換機の自動化が進む中、公社は既婚女性への退職勧奨など、女性の雇用削減を進めてきました。そうした中、私たちの目標の一つは、女性が長く働き続けることでした。

全電通は1950年代から託児所、育児休職や特別勤務制度、看護休暇などに関する協約を電電公社と締結してきました。法律ができるずっと以前のことです。この労働協約があったから、女性たちは働き続けることができました。

私たちが展開したのは協約を守り、守らせる運動です。例えば、女性が生理休暇を取得すると管理者が「本当に生理なのか」とちょっかいを出すなど、協約で保障された権利に対して公社が嫌がらせをしてきたら、すぐに団体交渉の議題として取り上げました。

協約を生かすために

女性組合員一人ひとりが協約の制度を理解し、取得することで協約は初めて生きてきます。いい制度であっても使われなければ意味がありません。育児休職制度は、職場復帰が原則なので、取得者の家を家庭訪問し、職場の状況を伝えたり、「必ず戻ってほしい」と私も声を掛けたりしたものです。

全電通は「合理化による解雇はしない、労働条件は向上する」などの確認を公社としていました。労働条件確保・向上は大きなバックボーンでした。

新しい制度をつくるためには大きなエネルギーが必要です。職場での具体的な要望から、全国大会での方針確認まで数年、そして公社との交渉など、組合全体の取り組みの中で初めて協約等が実現します。そして組合員への周知など丁寧な環境づくりがあって女性たちも安心して権利の行使ができたと私は思います。私も全国を歩きましたが、組合への感謝の言葉(育児休職があったから働き続けられた、これからは組合に恩返ししたいなど)を聞かされると、逆に励まされることも多くありました。

闘わないと要求は通らない

1985年に均等法が成立し、日本が女性差別撤廃条約を批准した後、家事・育児は女性の役割という固定観念の見直し、性別役割分担の見直しを全電通の女性運動の柱に盛り込みました。女性の社会進出が進む中で、夫婦間の役割を見直し、女性が自分の力を伸ばすための時間が必要だと考えたからです。「労働組合は家庭の中に手を突っ込んでくるのか」と多少の抵抗はありましたが。

また、意思決定の場に加わる女性を増やすことにも力を入れてきました。公社からNTTに変わる時期でもあったので、女性集会に会社幹部の参加を要請して、会社中枢、経営方針を決定する場への採用を要望したこともありました。一方、労働組合でも、必ず女性執行委員を選出する方針を提起しました。一部の男性役員からの反対もありました。最終的には全国大会で承認されましたが、厳しいものでした。

いろいろな活動を通じ女性が輝いていた時代でしたが、やっぱり声を上げ、闘わないと要求は通らないということは肝に銘じてきました。その活動基盤は女性の活動への参加と職場に労働組合があったから。いつの時代も職場の組合員に必要とされる労働組合であることが一番重要なことだと思います。

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