特集2019.06

女性と労働組合能力を高め仲間を支援する
海外労組の女性役員育成策は?

2019/06/10
海外の労働組合では男女平等参画をどのように進めているのだろうか。情報労連が加盟するUNI(世界150カ国、900組織、2000万人)のアジア太平洋地域組織(Apro)の機会均等部長のアリス・チャン氏に聞いた。
アリス・チャン UNIApro機会均等部長

ジェンダー平等のための活動

UNIApro機会均等局の目標は単純です。誰もが同じ機会を利用でき、公正な待遇を享受できるようにすること。差別・ハラスメント・虐待・いじめがない職場環境を整備することです。

そのためにUNIAproでは、さまざまな活動を展開しています。

その一つが、ジェンダー代表制とジェンダーバランスの向上です。UNIAproでは、「40/40キャンペーン」を実施。部会や専門委員会などにおいて女性参画率を40%にする活動を行っています。

このほかにも、ハラスメント対策のガイドラインを策定したり、男女間賃金格差の是正のための取り組みをしたりしています。また、女性の健康確保も真のジェンダー平等達成のために不可欠な前提条件だと考えています。

経済のグローバル化は、労働市場や働き方に変革をもたらしていますが、伝統的な性別役割分業は残っています。女性の社会進出は進んでいますが、家庭内の役割分担は進んでいません。そのため、女性は仕事と生活の両方で役割を発揮しなければならず、男性よりも少ない休憩時間で長時間働かなければなりません。その結果、女性には重い負荷がかかり、専門的なキャリア開発の機会も限られてしまいます。

UNIApro機会均等局では、ジェンダー不平等を克服し、ワーク・ライフ・バランスを達成するための政策策定に取り組んでいます。

自信を身に付ける

一般的に女性は、仕事と家庭の両方で役割を担っているため、労働組合の活動に参加する時間が限られてしまいます。ジェンダー役割の固定概念、労働組合の男性優位的な文化が、女性が労働組合に積極的に参画するための障壁になっています。

こうした状況を変えるために私たちは「40/40キャンペーン」などの取り組みを実施し、女性が指導的立場になれるようにしています。

例えば、UNIApro/ICTJ青年ワークショップでは、若年層の女性が積極的に組合活動に参画できるよう促進しています。この取り組みには、アジア各国から約60人の若者たちが参加。「組織化」や「ソーシャルメディア」などをテーマにしたグループワークを取り入れながら、双方向の学習手法を用いて、若手役員同士の交流を促進しています。このトレーニングコースによって、若者たちが自信を身に付け、多くの卒業生が各国の組合リーダーになっています。

女性向けプロジェクトで最も成功し、多くの女性労働組合活動家の育成に寄与したのが「グローバル平等プロジェクト」です。各組合が女性リーダーを選出、 5〜7日間、女性役員向けのプログラムを実施します。このプロジェクトを通じて、参加者同士でネットワークが形成され、お互いに自信を身に付けることができます。

トレーニングコースのプログラムは、情熱のある女性役員によって提案されます。プロジェクトの担当者はかつてのプログラムの卒業生です。つまり、このプロジェクトはUNIAproで力を付けた女性が、自分たちでデザイン・運営するものです。参加者たちによって、組織化、団体交渉、男女平等という三本柱の取り組みマニュアルも作成されました。現在このプロジェクトは行われていませんが、UNIApro加盟組織の女性役員育成という点で成果があったと考えています。

また、UNIApro機会均等局では、「メンター/メンティー」制度を用いています。この中では、一人の女性が他の女性を勧誘することを奨励しています。例えば、一人の女性が5人の女性を連れてきて、その5人の女性が5人ずつ連れて来れば、女性組合員の数はどんどん増えていきます。掛け算の力で女性のネットワークをつくることをめざしています。

能力を高め仲間を助ける

私の場合、17歳で銀行に就職して、すぐに組合に加入しました。組合のことはよくわかりませんでしたが、組合役員が一生懸命労働者のために働いている姿に引かれました。家族のような雰囲気の中で組合のことを少しずつ学び、専門的なスキルを身に付けていきました。

その後、私は組合の役員に選出され、組合活動に従事するようになると同時に、婚約もしました。婚約者の理解もあり、私は2年間だけ労働組合の活動を続けることになったのですが、気が付けば5年が過ぎていました。その間に結婚をしました。銀行の業務と組合の仕事はとても忙しかったですが、やりがいはありました。

私は、仕事か家庭かどちらかを選ばなければいけないとはまったく考えてきませんでした。だから、子どもを育てながら、仕事とのバランスを図り、キャリアを積んできました。

ワーク・ライフ・バランスや家庭的責任、育児などの課題を抱え、仕事か家庭かの選択に迫られている女性も数多くいると思います。でも、女性にはもっと選択肢が必要です。私たちはもっと意見を述べる必要があります。

平等とは対立することではありません。男性と女性がともに働き、互いにベストを尽くして、社会に貢献することです。平等を達成するにはまだ多くの障壁があります。ただ、行動しなければ社会は変わっていきません。女性は自分たちの力を高め、自分の能力を最大限に生かして仲間を支援していくべきです。女性たちは連帯しなければいけません。それは、男性とともに、労働組合運動を通じて、より良い場所をつくりだしていくことなのです。

特集 2019.06女性と労働組合
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