女性と労働組合情報労連「男女平等参画推進計画」
誰もが参画できる組合活動に向けて
2020年までの目標達成は厳しい状況
情報労連では、2009年から「男女平等参画推進計画」を策定し、現在は第2次計画まで取り組みを進めています。第2次計画の期間は2013年から2020年(2019年度)までの7年間となっており、三つの運動目標に対して数値目標を段階的に設定し、取り組んでいるところです(図1)。
図1 情報労連「第2次男女平等参画推進計画」
運動目標1
男女平等参画の必要性を組織全体・組合員一人ひとりに浸透させる。
〈数値目標〉
(1)次期定期大会(2014年開催)において、すべての組織が、運動方針に男女平等参画に取り組む意思を明記する。
(2)本計画に基づく自組織の「男女平等参画推進計画」を策定している組織を2013〜2014年度の2年間で100%にする。
運動目標2
仕事と生活が調和し、いきいきと働き続けられる風土と環境をつくり、企業・職場における女性の活躍を促進する。
〈数値目標〉
(1)すべての加盟組合において、遅くとも2015年までに男女平等参画について「労使で話し合う場」を設置する。
(2)2016年までに労使間で数値目標を設定してポジティブ・アクションの取り組みを進める。
(3)指導的地位に占める女性の割合「2020年・30%」をめざした取り組みを労使で進める。
運動目標3
男女がともに参加し、行動することで、労働組合運動を充実・発展させる。
〈数値目標〉
(1)各種会議や集会・イベント、研修等、あらゆる取り組みへの「女性参画率30%」を、すべての組織で2020年までに定着させる。(対象:中央本部・県協・加盟組合)
(2)女性役員を選出している組織を、遅くとも2017年までに100%にする。(対象:中央本部・県協・加盟組合)
(3)情報労連の役員および機関会議の女性参画率を2020年までに30%とする。(対象:中央本部の役員および機関会議、県協の議決機関(構成員・傍聴))
(4)加盟組合は、2020年までに女性組合員比率の女性参画率(役員および議決機関)の達成をはかる。さらに、女性組合員比率が30%未満の組織もできる限り「2020年30%」をめざし取り組みを進める。(対象:加盟組合の役員および議決機関)
情報労連では、2018年12月〜19年2月にかけて、「第2次計画」の進捗調査を実施しました(注)。すべての項目において目標達成に至っておらず、2020年までの目標達成は厳しいという実態はあるものの、各組織においては、女性を対象としたイベントの開催や意識調査など、さまざまな創意工夫が行われていることがわかりました。
「組合活動への女性参画」および「女性役員選出」がなかなか進まない要因について聞いたところ、「なり手がいない」「女性が少ない」「家庭の事情」が上位を占める結果となり、性別役割分担などの社会構造的課題やそもそも女性労働者の参入が少ない産業分野であることが、各組織における女性参画率の低さ等に反映されていることもうかがえます。
また、これらの課題の克服に向けて、必要あるいは有効と思われることについては、「呼び掛け」「職場(組合)での協力や相互理解の醸成」「女性自身の意識改革」が上位を占める結果となりました。
〈注〉
1.調査の目的
情報労連「第2次男女平等参画推進計画(2013年度〜2019年度)」(以下、「2次計画」)の達成に向け、各組織における進捗状況および課題把握を行うとともに、調査回答を踏まえた各組織での計画促進につなげるべく、本調査を実施した。
2.調査対象
全構成組織(本部加盟組織、県協加盟組合および県協)
3.調査期間
2018年12月〜2019年2月
4.調査方法
自記入式「調査票」により実施
5.調査票の回収状況
304組織中165組織(54.2%)
〈内訳〉
本部加盟組織:76組織中47組織
県協加盟組合:181組織中74組織
県協:47組織中44組織
「女性は役員を引き受けたがらない」の先を見据えて
「女性自身の意識改革」が必要との回答からは、女性に組合役員になるようお願いしても、家庭の事情等を理由になかなか引き受けてくれない、といった背景が想定されます。育児・介護・家事が女性に偏っている中で、拘束時間が長く、就業後や土日の活動もある組合活動への参画を尻込みするのは、当然とも言えます。だからこそ、女性は役員をやりたがらない、ということを女性の消極性に結び付けてしまうのではなく、どうすれば女性が参画しやすい組合活動になるのか、女性役員が定着・活躍しやすい環境はどのようなものか、求められるサポートや人材育成は何か、といったことについて、労働組合全体で向き合っていかなければならないと考えます。
誰もが参画できる組合活動をめざす
少子高齢化と労働力人口の減少が急速に進む中、女性をはじめ、多様な人材が参画し、その能力を十分発揮し得る労働環境をつくっていくことは、極めて重要な労働組合の取り組みであり、それを推進する労働組合の政策決定の場においても、多様性は欠かせません。また、今後、働きながら介護・育児・家事を担う人がますます増加することを踏まえれば、真に誰もが参画できる活動になっているのかという観点から、その活動スタイルについて冷静に見つめ直すことも、重要な意義を持つはずです。
情報労連は、引き続き、女性の労働組合への参画促進や課題改善はもとより、すべての働く仲間の共感を呼ぶ運動展開へとつなげていくべく、「第2次計画」の達成に向けた取り組みを着実に進展させていきます。