渋谷龍一のドラゴンノート2020.01-02

【第3編】職場~企業と「カイシャ」・作法の違いを知っていますか~限定正社員2

2020/01/17

限定正社員こそ救世主だ、と勘違いしてしまうのは、限定正社員といわゆる「ジョブ型正社員」を混同しているからではないでしょうか。ジョブ型を構想した濱口桂一郎氏はそんな間違いを犯していません。ジョブ型正社員とは、正社員でも非正規でもない。だから「労働者の宿命」から逃れるアイデアの一つであるはずです。

ところが、限定・「正社員」ならば、時間ドロボウが入ってきますから、もう別物です。つまり、限定正社員のうち、職種限定正社員と勤務地限定正社員は、時間限定ではありませんから、これまでと同じく「労働者の宿命」通りに時間ドロボウができます。時間限定正社員は、前回説明したように、時間ドロボウや買いたたきができます。

また、「限定」・正社員ならば、「限定」という使用者の言葉を労働者の言葉に置き換えると「制約」になります。家事、育児、介護、傷病、障害など労働者のさまざまな制約を加味して許容する働き方です。その「制約」を再び使用者の言葉に変換すると「契約」になります。つまり、制約があって他の正社員と同じように働けないのなら、その分を割り引く契約ではいかがですか、と持ち掛けます。

要するに、すべての「限定」・正社員には、「限定」割引適用ができます。多くは賃金単価や一時金単価の切り下げでしょう。正社員のはずなのに、正社員の宿命も、非正規の宿命も負わされます。「労働者の宿命」はハイブリッド型雇用です。解雇しやすい正社員という懸念も拭えません。

これが限定正社員の本当の姿ならば、救世主どころではありません。近い将来、非正規割合が半数を超えた時から本格化する、新しい契約社員への統合を先取りしています。正社員、主婦パート、高齢者パート、派遣労働者、フリーター、副業者などほとんどに対応できる労働契約により、時間ドロボウと買いたたきをブレンドした全方位型の契約社員の模型のように見えます。

渋谷 龍一 (しぶや りゅういち) 労働ジャーナリスト
『女性活躍「不可能」社会ニッポン原点は「丸子警報器主婦パート事件」にあった!』(旬報社)で2016年貧困ジャーナリズム賞を受賞。
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