特集2020.03

労働組合は、だから必要だ!連合の情報をつぶさに発信
「ユニオニオンくん(非公式)」に聞く労働組合への思い

2020/03/13
連合の情報を発信するツイッターアカウント「ユニオニオンくん(非公式)」。「中の人」は有期契約雇用で働く連合の一組合員だ。労働組合に対する思いなどを聞いた。

労働組合の当初の印象は最悪

連合の構成組織(産業別労働組合や企業別労働組合、地方連合会など)がSNSなどで発信する情報を一つずつ拾い上げ、ツイッターで広げるアカウント「ユニオニオンくん(非公式)(@renngou1989)」。労働組合の動きをつぶさに発信するアカウントとしてフォロワーを増やしている。

「中の人」は、連合の専従スタッフではない。連合構成組織の組合員ではあるものの、組合役員でもない。有期契約労働者として民間企業で働く、一人の若い組合員だ。

ユニオニオンくん(非公式)さんは、大学卒業後、1年間のアルバイトを経て中小企業に正社員として就職。苦労して正社員になったが、そこで長時間労働やパワハラ、労災隠しなどで苦しんだ。

業種が近い産業別労働組合に電話で労働相談したが、「業種が違うからわからない」と言われ、「労働組合の当初の印象は最悪」。就職した会社には労働組合はなく、テレビで春闘のニュースが流れても、「自分には関係ない。中小企業はそんなもの。大手企業は違うな」と思っていた。

だが、今度は連合の労働相談ホットライン「0120-154-052」に相談。すると丁寧に対応してくれ、電話をしたその日に面談で話を聞いてくれた。「法律のことも含め、具体的な解決策を教えてくれて、いざというときに頼れる存在だと印象が変わった」と振り返る。その後、地方連合会の個人加盟ユニオンに加入した。

身近な労働問題を中心に

ユニオニオンくん(非公式)のアカウントを立ち上げたのは、この頃。正社員の仕事を退職した後の2018年5月のことだ。

「きっかけは本当にささいなこと。友人から『労働組合の情報発信をしてみたら』と勧められたことが始まりです」

労働組合が何をしているのか知りたいという気持ちもあり、ウェブで連合の構成組織の情報を見つけては、ツイッターに次々とアップしていった。労働問題のニュースもこまめに発信。アカウント開設から2年弱でフォロワー数は2200を超えた。

ツイッターを運用しながら気付いたのは、労働にかかわる身近な問題には多くの人が関心を寄せてくれるということ。

「賃上げや労働時間、カスタマーハラスメント、技能実習生などの問題を取り上げると、ツイートへの反応が伸びます。多くの人が身近で経験している問題だからだと思います」

発信する際に気を付けていることがある。それは政治課題ではなく、労働問題を中心に取り上げること。労組の政治活動の重要性は理解しているが、賃金や長時間労働といった労働問題は、誰にとっても共感しやすいテーマだと考えているからだ。

「私たちの世代の労働組合の印象は最悪です。無関心層がほとんどですが、関心を持っている人の労働組合のイメージは、『御用組合』や『政治活動しかやっていない』というものばかり。労働問題にテーマを絞った方が共感してもらえる」と訴える。

労働組合への思い

ユニオニオンくん(非公式)さん自身も、以前は労働組合を遠い存在と感じていた。だが、今は違う。転職先の職場には、労働組合がある。現在は、その労働組合の組合員だ。「職場の先輩からは、有期契約の私が組合に加入したことで、非正規の賃上げ交渉ができるようになったと言われました。実際、私の時給も上がりました。それだけではなく、インフルエンザの予防接種の一部費用負担など、そういう点でも労働環境を守ってくれています」と話す。

だからこそ、強調したいのは、次のことだ。

「週40時間労働のように、今当たり前に思える労働条件であっても、それが当たり前になったのは、過去の先輩たちの積み重ねがあったから。それを次の世代につなげていくことができるのは、労働組合だけです」

自身の経験があったからこそ、今困っている人たちに、このことも伝えたいと考えている。

「労働のことでこんなに親身にあなたの話を聞いてくれて、アドバイスしてくれる組織は労働組合をおいてほかにありません」

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