巻頭言2020.06

第59回定期全国大会

2020/06/12

日々働く人たちに敬意と感謝

世界保健機関(WHO)のパンデミック宣言(3月11日)からわずかに3カ月。

世界の感染者は、この1カ月で倍増し、ついに600万人(死者37万人)を超えるところとなった。日本の感染者数(6月1日時点、クルーズ船含む)は1万7596人で、残念ながら905人の死亡が報告されている。

見えざる新型のウイルスと闘っておられる皆さんの一日も早い回復を祈念し、犠牲となられた皆さんに対しては、心からのご冥福をお祈りしたい。

その上で、安倍政権の初動対応を含め、この間の政治的混迷が続く中、日本の感染者と犠牲者が、各国との比較において低位にあることは世界の驚きとなっているが、その大きな要因として、感染リスクを抱えながらも、医療・介護の現場で日々苦闘いただいている皆さんの存在があることを決して忘れてはならない。

情報労連にもそれらに従事する多くの組合員が存在するが、すべての皆さんに対し心からの敬意と感謝を申し上げつつ、今後とも健康・安全には万全を期した上での職務遂行を切にお願いしたい。

パラダイムシフトに対峙した労働運動を模索

さて、世界に目を転じれば、ロシアや南半球諸国での急激な感染拡大が報道されており、引き続き、緊迫した状況が継続しているが、その一方で、感染源発生の地とされる中国をはじめ、先行して感染者が急増した国々(日本含む)では、防疫対策(渡航禁止やロックダウン、産業・企業活動の自粛や生活様式の変容等)による感染者数の低減を受けて、外出禁止の解除や産業・経済活動の再開も報じられているところである。

日本においても、『緊急事態宣言(4月7日発令)』の全域解除(5月25日)に至り、各自治体の要請に基づく各種制限や自粛の段階的解除、さらには学校も再開される状況にあるが、厳しい日々を乗り越えた一つのステップ(節目)として率直に歓迎したい。

その上で、識者からは、気の緩みによる感染拡大への再転換や第2波に対する懸念等が指摘されているところであり、コロナ禍の長期化を覚悟し、今後とも危機感を共有・継続しつつ、いわゆる“新たな日常の創造”に向けた情報労連におけるBCP(運動継続計画)等の検討・実践にも着手しなければならない。

本誌到着時、書面決議での開催とした『第59回定期全国大会(6月4日)』は終了し、『2020年度運動方針』の決定に基づく運動がスタートしていることを確信するが、事前に送付(5月21日)した中央闘争委員長あいさつでも触れたように、明年夏の定期全国大会(基軸大会)は、第60回の節目の大会であると同時に、複合産別化(多様な業種・業態の組織)を契機に、『情報労連』へと名称変更(1991年)してから30年の節目の大会となる。

「ウィズ・コロナ」「アフター・コロナ」下での政治・経済・社会のパラダイムシフトに対峙した労働運動や組織運営について模索する一年となることは論をまたないが、検討にあたっては、これまで追求してきた『F2F(face to face)』による組織運営、活動の可視化・参画による『感動』や『気付き』を大事にした論議に期待したい。

野田 三七生 (のだ みなお) 情報労連中央執行委員長
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