特集2021.03

社会貢献活動・ボランティアの10年組合活動に参加する意義
「ゆにふぁん」で共感広げる

2021/03/15
労働組合の社会貢献活動を「見える化」する取り組みとして、連合が2019年に立ち上げたウェブサイト「ゆにふぁん」。取り組みの成果や、労働組合が社会貢献活動に取り組む意義などについて聞いた。
山根木 晴久 連合総合運動推進局
総合局長

「ゆにふぁん」の広がり

労働組合運動のDNAの中には、社会貢献という要素が本質的に含まれています。支え合い、助け合いの精神は労働組合の存在意義そのもの。職場だけではなく、地域社会との支え合いも、労働組合の精神に元来備わっているものです。

連合はこれまで「愛のカンパ」から市民団体に支援金を助成したり、自然災害の際には復旧支援ボランティアに積極的に取り組んだりしてきました。

労働組合には、組織力や動員力、企画力があります。その力を社会や地域のために還元することができます。実際、地域では労働組合がさまざまな社会貢献活動を展開してきました。ただ、その活動が地域や他労組の組合員に共有されていたかというと不十分でした。

そうした活動を可視化し、情報を共有することができれば、共感の輪が広がり、運動をさらに盛り上げることができます。そのためのツールが、連合が2019年に立ち上げたウェブサイトの「ゆにふぁん」です。「ゆにふぁん」では、サイト上に「ゆにふぁんマップ」を展開し、各地で地方連合会や構成組織が取り組む社会貢献活動を調べることができます。

現在、354のプロジェクトがマップ上で展開されています。「ゆにふぁん」の認知が広がり、登録数も増えてきました。

「ゆにふぁん」では、登録した団体が、クラウドファンディングで寄付を呼び掛けることもできます。これまで5つの団体がクラウドファンディングを展開し、すべて目標額を達成しました。その中には、情報労連宮城県協議会が活動に携わってきた「ゆりりん愛護会」(宮城県沿岸部の防風林の再生に取り組む団体)もあります(「ゆりりん愛護会」の取り組みは「ゆにふぁんマップ」に掲載していますので、ぜひ多くの「いいね!」をよろしくお願いします。トピックス参照)。

「愛のカンパ」からの助成と「ゆにふぁん」でのクラウドファンディングとの違いは、前者は選考委員会が助成先を決める一方、後者は寄付する団体を個人が選べること。そのため、クラウドファンディングの場合、個人からの共感をどれだけ得られるかが課題となります。

クラウドファンディングにとどまらず、「ゆにふぁん」に登録した活動とサイトを見てくれた人や寄付をしてくれた人たちが「物語」や「ストーリー」を共有し、運動の盛り上がりにつなげていけるよう、「ゆにふぁん」の中で工夫したいと思います。

労働組合は何を提供するか

東日本大震災のあった2011年は「組織ボランティア元年」だったと考えています。東北沿岸部に個人がボランティアとして向かうことが難しい中、連合は組織力を活用し、多くの組合員ボランティアを被災地に派遣できました。一般の人たちが活動することの難しい平日に、まとまった人数で活動できたのは、組織力があってのことだと思います。この組織力を今後も生かしていきます。

被災地でボランティアに参加した多くの人が、「参加できてよかった」と言って帰ってきました。このように、活動に参加する意義や喜びを得られる場を労働組合がどれだけ提供できるかが、今後の労働組合運動にとって大事だと考えています。社会貢献活動は、「人のため」だけではなく、「自分のため」や「生きがい」「やりがい」にもつながります。みんなが参加したいと思うような活動の場を労働組合が提供できれば、組合員からの訴求力も高まるはずです。

また、働く人が社会貢献活動に参加しやすくなるよう、会社に働き掛けたり、労使で議論したりすることも大切です。

労働組合の社会的な価値に気付いてもらい、労働組合運動の発展につなげていけるよう、「ゆにふぁん」のさらなる活用を進めていきます。

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