特集2021.03

社会貢献活動・ボランティアの10年コロナ禍でも労働者福祉
基金を立ち上げ各地で支援

2021/03/15
コロナ禍の中で、労働者福祉を担う中央労福協は、生活の困難を抱えた人たちを支援するためにさまざまな活動を展開している。私たち組合員もその活動の一端を担っている。
南部 美智代 中央労福協事務局長

生活困窮支援の現場では

労働者福祉中央協議会(中央労福協)は、連合などとともに46道府県で「ライフサポートセンター」を開設し、生活相談を行っている。このうち七つの県の地方労福協が、生活困窮者自立支援事業を受託している。

「新型コロナウイルスの影響を受けて、生活困窮の相談が増えている」。南部美智代・中央労福協事務局長はこう説明する。生活困窮者自立支援事業を受託している地方労福協では、人員を増強しているところもあるが、繁忙状態が続いているという。相談には失業に伴い住居を失うなどの深刻な内容も多い。「国の支援策が期限切れになれば、困窮する人がさらに増える」と南部事務局長は話す。

労福協は21県でフードバンク事業を支援しているが、支援物資が不足している地域も出始めている。

「ろうふくエール基金」を創設

中央労福協は2020年7月、新型コロナウイルス感染拡大に伴い仕事や住まいを失うなど、困難を抱えた人たちを支援するため、生活・就労応援基金(愛称:ろうふくエール基金)を設置した。具体的には、(1)地方労福協を通じて各地のNPOなどを支援する「就労・居住支援等の事業への助成」(2)生活困窮者支援に用いる「緊急生活支援」(3)「生活困窮者自立支援事業の相談員・支援員への応援」という三つの活動に基金から費用を支援する。今年1月時点で、情報労連からの支援を含め寄付などによって約3300万円が集まっており、これまで900万円程度を拠出してきた。

例えば、大阪労福協では、大阪府生活協同組合連合会と連携して、大学生や専門学校生約2000人に、コメなどの食料を配布する活動を実施。その費用の一部を基金からの助成でまかなった。北海道でも同様の活動を展開。新潟では、連携する新潟フードバンク連絡協議会が、ひとり親世帯にクリスマスケーキを渡す取り組みを展開。その費用の一部を基金が助成した。

生活困窮者支援に用いる「緊急生活支援」では、所持金のない相談者の食費や宿泊費の支給、食品、プリペイド携帯電話のチャージ料、就職活動用に貸与するスーツの購入などに基金を活用した。

さらには各地で受託している生活困窮者自立支援事業の相談員・支援員の支援に基金を活用している。地方の労福協が受託している自立支援事業は、ほとんどが単年度契約であり、相談員・支援員は有期契約労働者が大半。以前から処遇の課題があったが、コロナ禍で負担がさらに高まっている。そのため、基金では、支援する側を支援する取り組みとして、相談員・支援員に応援金を渡すなどの取り組みを実施することを決めた。

南部事務局長は、「基金のさらなる活用を地方労福協に呼び掛けている」と話す。「ろうふくエール基金」には、個人からの寄付も可能で、中央労福協では、寄付を広く呼び掛けている。

労福協の活動を知る開

労福協は、労働団体や生活協同組合などの構成団体が連携し、「福祉はひとつ」という原点のもとで、労働者福祉を実践する協議体だ。コロナ禍でも各地域でさまざまな福祉活動を展開してきた。近年では、奨学金制度問題に力を入れており、ホームページではコロナ禍で苦しむ学生などの声を集めている。南部事務局長は、「私たちの活動をもっと知ってほしい。労働組合の組合員の皆さんも労福協の一員だと意識してもらえるようにしたい」と強調する。私たちは、支え合いの組織の一員だ。そのことを意識して、活動へのコミットメントが高まれば、支え合いの運動がいっそう強くなるはずだ。

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