特集2021.03

社会貢献活動・ボランティアの10年ボランティア人材を育成し被災地に派遣
基幹労連「JBUパワーバンク」

2021/03/15
基幹労連では災害救援ボランティアとして組合員を被災地に派遣する「JBUパワーバンク」の取り組みを展開している。取り組みの概要を紹介する。
村上 浩規 基幹労連中央執行委員
「JBUパワーバンク」事務局長

27万人パワーで社会貢献活動「JBUパワーバンク」

基幹労連は、社会貢献活動の一環として、災害時に被災地へ組合員を災害救援ボランティアとして派遣する「JBUパワーバンク」の取り組みを展開している。

基幹労連が、「JBUパワーバンク」を設立したのは2007年9月。「JBUパワーバンク」の事務局長を務める基幹労連の村上浩規中央執行委員は、「基幹労連は2003年に三つの産業別労働組合が統合して設立された組織。組織の統一的な活動を模索する中で、労働組合の社会的役割を発揮しつつ、組合員が参加しやすく、人的交流も図れる活動として『JBUパワーバンク』が設立された」と説明する。

「JBUパワーバンク」ではまず、基幹労連の加盟組合・構成組織の組合員が基礎講座を受講して「パワーバンクメンバー」となる。その後、実際に地震や台風などの自然災害が発生すると、基幹労連が災害救援ボランティアへの参加を加盟組合に呼び掛け、その呼び掛けに応じた「パワーバンクメンバー」が被災地で災害救援ボランティアとして活動する。

パワーバンクへの参加希望者は、まず基礎講座を受講する必要がある。この研修は、阪神・淡路大震災後に、同様の地震が関東で起きた場合の対策をたてることを目的に設立された(財)災害救援ボランティア推進委員会と連携して実施している。研修は、1泊2日で、災害ボランティアや防災の基本を学び、機材の使い方や土のうのつくり方などの実技訓練を行う。特に「被災地支援のために」と没頭しけがを負うこともあることから「災害ボランティアの第一歩は自分の身は自分で守ることが大原則」であることへの指導に注力している。

基礎講座は基本的に年5回開催しており、このうち2回は、基幹労連本部で実施し、残りの3回は加盟組合のある地域で開催している。これまで、総勢2600人超が基礎講座を受講し「パワーバンクメンバー」として登録している。

各地域で主体的な活動をめざして

基幹労連ではこれまで、「東日本大震災」や「熊本地震」、近年では「平成30年7月豪雨」「令和元年東日本台風(台風19号)」などの際に、「パワーバンクメンバー」を被災地に派遣してきた。

「パワーバンクメンバー」が活動した現地の住民からは、「すごく早く片付いた」「仕事が早い」などの感謝の言葉が届いている。「基礎講座を受講したメンバーだという連帯感があり、組織として一体的な活動ができることが強みになっている」と村上さんは話す。

新型コロナウイルスの影響で、被災地のボランティアセンターがボランティアの受入れを被災地域の県内に限定している。こうしたことから、熊本県を中心とした令和2年7月豪雨では、中央本部が主体となったボランティア活動は行わなかった。コロナ禍では「被災地のボランティアセンターがボランティアの受入れを県内に制限しており、各地域で主体的に活動できる体制の構築が重要になる」と村上さんは説明し、そのためには、各地域のリーダー育成を目的とした「上級講座」を実施していかなければならないと想いを述べた。村上さんは、「災害がいつ起きても、各地域が主体的に活動できる体制をめざしたい」と力を込める。

「JBUパワーバンク」の取り組みは、「組合員が基幹労連の活動を知るきっかけの一つになっている」と村上さん。「基礎講座への参加意欲も高く、最近の講座も盛況だった。こうした活動を通じて、労働組合の組織強化も図っていきたい」と話す。労働組合が組合員のニーズに応える場を提供できれば、組合活動の強化にもつながるはずだ。

JBUパワーバンク基礎講座でのグループワーク
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