特集2021.03

社会貢献活動・ボランティアの10年東北3県からのメッセージ

2021/03/15
東日本大震災の発生から10年。現地で活動してきた岩手・宮城・福島の3県の県協議会議長からのメッセージを掲載する。
谷藤 学 情報労連岩手県協議会議長

震災を忘れない風化させない

東日本大震災から10年。この間、全国の仲間の皆さんから頂戴した物心両面にわたるご支援に改めて感謝を申し上げます。

岩手では、発災直後から現地で活動した「連合岩手ボランティア」を多くの情報労連の仲間に支えていただきました。また、三陸やまだ漁協との「復興カキオーナー」の取り組みは、地域の主要産業の再生に大きな貢献を果たしました。

10年が経過し、沿岸地域と内陸を縦横に結ぶ復興道路や生活再建の拠点となる復興住宅、命と財産を守る防潮堤などハード面の復興は着実に進んでいる一方、医療・介護・保育等の専門職人材の不足や漁業の不漁が続くなど、暮らしの安心・安定には課題が山積しています。震災の風化も危惧されています。労働組合の立場からは、組合員と家族の安否確認手段の確立、労使によるBCP対策や帰宅困難者対策等、日頃から意識し備えていくことも大切な風化防止の取り組みになると思います。今後も東日本大震災の経験が意義あるものとなるよう「震災を忘れない・風化させない」取り組みを継続していきます。



三浦 清 情報労連宮城県協議会議長

これからも一歩ずつ

あの日から10年。今もなお全国の仲間の皆さんから、被災地を忘れない取り組みを継続いただいていることに心から感謝申し上げます。

宮城県は「災害に強いまちづくり宮城モデル」を掲げ、「津波対策」「復興まちづくり事業」「災害公営住宅の整備」の三つを最重点項目として取り組んできました。昨年12月末の進捗状況は、「津波対策」の河川と海岸整備を除きほぼ完了しています。

今後の課題は人口減少と高齢化であり、若い世代が故郷に住み、働き続けられる環境整備が必要です。今、コロナ禍において「ニューノーマル」な社会の創造が加速していますが、「リモート型の働き方」など、中央集中型から地方へと分散させ人口減少に歯止めをかけることができないか、それはICT産業に働く私たちの役割ではないかと思っています。

今年、楽天イーグルスに田中将大投手が帰ってきました。2021年が被災地にとって、いかに重要かを理解しての決断だと思います。その思いを強く感じさらに前を向いて前進します。「これからも一歩ずつ」。



鈴木 秀昭 情報労連福島県協議会議長

真の福島を取り戻す

最初に「10年にわたる全国からの厚い支援を受け、福島県構成員一同何とか忍耐で頑張り続けています」と改めて代表して一言。

さて現在、地震と津波によって被害を受けた県内沿岸部では、防波堤の整備と住居高台移転がほぼ完了しつつあります。また、東京電力福島原発の放射能による影響は、当時の避難者16万4000人から昨年12月で3万6555人となっています。帰還困難区域は解消され、避難指示区域7町村を一部残すのみとなっています。廃炉作業等は、中間貯蔵施設の集積作業、汚染水の問題とメルトダウンしたデブリの除去の工程に入っていますが、気の長い取り組みとなりそうです。

一方、福島県は、県内空間線量率等情報発信システムの設置による放射線の可視化、食品等の安全のための全量検査の継続、若年層への甲状腺検査を継続させていますし、「原子力に依存しない福島」をめざし、再生エネルギー事業を活発化させるなど、真の福島を取り戻そうと頑張っています。特に風評被害で大きな損失を被った福島ですが、すべては元に戻らないまでも一歩ずつ、豊かな大地と心を取り戻しつつあります。

特集 2021.03社会貢献活動・ボランティアの10年
トピックス
巻頭言
常見陽平のはたらく道
ビストロパパレシピ
渋谷龍一のドラゴンノート
バックナンバー