特集2021.04

もっと労働組合 ─つくろう、入ろう、活用しよう─こんなときどうする?
労働組合のつくり方から運営までQ&A

2021/04/14
労働組合ってどうやってつくるの?どうやって活用するの?労働組合に関する基本的な疑問について、情報労連の組合役員が答えます。労働組合という機能を生かして、働きやすい職場をつくりましょう!
松岡 康司 情報労連組織拡大局長

〈結成編〉

Q 「労働組合をつくる」ってどうやってやるの?

A 日本では、労働組合は労働者が自主的に団結して結成すれば、いつでもどこでも自由につくれます。

ただし、そこで一番大切なのは、労働組合をつくって働きがいのある職場をつくりたいという「強い気持ち」と、それに賛同してくれる「多くの職場の仲間」たちです。この二つがそろえば、あとは結成大会を開催し、(1)組合規約(2)活動方針(3)予算(4)役員体制──について確認・決定しましょう。もちろん、結成大会までの手順や必要な資料、結成後の組織運営などについては、情報労連のオルガナイザーが親切・丁寧に対応いたします。

Q どうして仲間を増やす必要があるの?

A 労働組合の加入率にかかわらず、労働組合は会社と団体交渉をすることはできますが、もし、その労働組合に加入している人が職場の1割だとしたらどうでしょう。そこで提起する労働組合の意見が、民主的手続きで決め合った組合員の意思に沿ったものだとしても、それは職場の1割の人たちを代表している意見にすぎません。また、個人加盟ユニオン(個人で加盟する形態のユニオン)の団体交渉の場合でも、ユニオンの意見は、基本的に、その会社で働く組合員の個人の意見とみなされてしまいます。これらの意見に会社は重みをもって対応してくれるでしょうか。

逆に、加入率が100%であれば労働組合の意見は、職場全員の意思を結集したものとみなされますので、当然、会社は重きをもって受け止め、対応せざるを得ないでしょう。また、過半数以上の職場の仲間が労働組合に加入していれば、「過半数労働組合」として、36協定の締結をはじめとした「労使協定」の当事者として、法的な力を得ることができます。まさに労働組合においては「数は力」なのです。

Q 上部団体に加盟するメリットとは?

A 日本における企業の99%は中小企業です。そこに対置する労働組合は、組合財政の規模も小さく、労組役員の専従配置も難しく、組合運営や団体交渉に苦労しているのが実態です。情報労連などの産業別労働組合は、そのような組合を支援するためにあり、組織運営や交渉の進め方など、なんでも相談することができます。加えて、産業別労働組合全体のスケールメリットを生かした福祉等のサービスを提供している場合もあり、組合員のメリット感も高まります。

また、日本の労働組合は「企業別労働組合」が一般的であり、当該労使関係を基本に課題を解決していきますが、産業構造上の課題をはじめ、組合員の働き方や生活にかかわる法律・制度上の課題など、当該労使間のみで解決できるものばかりとは限りません。このような課題に対しても、産別労働組合や連合のようなナショナルセンターに意見を寄せ合い、その産業や日本で働く者たちの全体の意思としてまとめることができれば、他の労組・産別との連携や政治の場などを通じて、改善に向けた働き掛けが可能になります。

このように上部団体加盟には、労働組合単独ではできないことが可能になるという大きなメリットがあります。

〈活用編〉

Q 労働組合をつくったら、どうやって活用するの?(団体交渉・労使協議会)

A 労働組合役員は、まず職場対話会を開き、組合員の意見や職場の課題を聞いてください。その意見や課題が職場全体の問題、他の皆さんも共感できるものであれば、会社とそのことについて、徹底して話し合ってみてください。その結論・結果のいかんはともかく、このように労働組合は、組合員の意見や課題を取り上げ、「働きがいある職場」に向けて活用するために存在します。

また、話し合った結果と、その結果に至った理由を組合員にしっかり伝えることで、組合員のみならず会社との信頼感を高めることも大切です。

会社との話し合いの場として、組合員の労働条件に関する案件は団体交渉、会社経営に関することは労使協議会と使い分けている労働組合もあります。労働組合をつくったら、まずは組合員と、次に会社と話し合うことから始めましょう。

Q 会社が取り合ってくれない。どうすれば交渉力が高まる?

A 会社を労組との話し合いの場に引っ張り出したり、交渉能力を高めるために、事業運営にかかわる課題であることを力説したり、データ収集やロジックを立てることも大切ですが、先にも述べたとおり、一番重要なのは、「労働組合の意見が職場の多くの仲間の意思を代表している」ということです。つまり、多くの仲間が労働組合に加入し、活動に参加・参画してもらうことが交渉力を高める近道です。

以上の基本を踏まえての話にはなりますが、組合員の労働条件にかかわる話し合いは団体交渉を活用することができます。会社は、法的に、労働組合の団体交渉の申し出を断ったり、不誠実な交渉をしたりすることはできません。

〈運用編〉

Q 労働組合の活動を続けていく/運営するためには?

Q 労働組合活動がなかなか定着しない。何をしたらいいの?

A 労働組合の活動サイクルは、執行委員会が起点になります。執行委員会は、大会で決めた方針を活動として具体化する大切な役割がありますので、各執行委員が集まりやすい曜日や時間に定例的に開催するとよいでしょう。また、大会で決めた方針に基づく1年間の活動計画もあらかじめ月単位等で決めておくと、執行委員会で論議する内容やスケジュールも立てやすくなります。

次に重要なポイントは、執行委員だけの活動にならないよう、職場対話会や組合員参加のレクリエーションの開催を決まった時期に計画・実施するなど、組合員全体を活動に巻き込むことを心掛けることです。こうすることにより組合活動が組合員全体にも定着していきます。

さらに定着を図るためには、労組新聞の定期発行やWebでの情報発信など、活動を見える化し、すべての組合員に労働組合を身近に感じてもらうことが必要です。

以上の取り組みは、まだ労働組合に加入していない方への有効な加入アピールにもなりますので、積極的に取り組んでみてください。情報労連では労働組合をつくりたい皆さんを支援しています。ぜひご相談ください。

特集 2021.04もっと労働組合 ─つくろう、入ろう、活用しよう─
トピックス
巻頭言
常見陽平のはたらく道
ビストロパパレシピ
渋谷龍一のドラゴンノート
バックナンバー