渋谷龍一のドラゴンノート2021.07

【第4編】パートナー〜そろそろ「オトコ社会」に気付きましたか〜卒婚

2021/07/13

前回の終わりに触れた最後の手段とは、夫婦の場合ならば卒婚です。離婚だと思いましたか?

しかし、女性たちの話を総合すると離婚は少ないです。いや、離婚はありえますが、この手の理由で離婚に至ることはほとんどありません。離婚は女性にとってしんどいものです。しかも経済的事情や再婚機会など、あらゆる点で男性より苦労の多い「離婚格差」があるので、女性にとって損です。

離婚まで進む場合は、性格の不一致などではなく、ツートップは、古今東西間違いなく、他の人との男女関係か、暴力などの危険からの避難です。このツートップでも離婚できない人がいるほど、女性にとってハードルが高いのです。

ですから、離婚という線が消えた後の卒婚は、もちろんこっそりと秘かな卒婚を含めての話ですが、多数の女性が実行しています。確かに、もう遅いわよ、という女性にとって、「お世話係」から降りてももう何も言われないし、相互不可侵で別々の道を歩むフリをするのは、最も手間のかからない的確な手段かもしれません。

卒婚は人ごとだと素通りしがちですし、こういうのっていいな、とノー天気な意見で礼賛されることがあります。でも、実際に卒婚者の女性に会って話を聞いていると、状況はそうではありません。多くの場合、最初は、バカバカしいから許してやった、という虚勢になりがちです。しかし、話し込んでいるうちに泣き出したり、怒りに身を震わせたりすることになります。

落とす涙は悔し涙で、やっぱり深刻なのです。卒婚は、一番簡単に済む方便で、「逃げ」であったと痛感します。

ですから、はじめから離婚や卒婚を推奨しているわけではなく、お母さんになりたいあなたには、イバラの道かもしれませんが、やはりパートナー育てでぶつかってほしいのです。なぜならば、成功すれば得るものがとてつもなく大きいからです。

渋谷 龍一 (しぶや りゅういち) 労働ジャーナリスト
日本労働ペンクラブ会員。主著に『女性活躍「不可能」社会ニッポン 原点は「丸子警報器主婦パート事件」にあった!』(旬報社)がある。
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