特集2021.07

政治に変化を
政治に対する見方を変える
国会を楽しむコツは?
情報収集や投票のポイントを聞く

2021/07/13
とっつきにくい国会論戦。何をすれば理解が深まるのか。情報収集のポイントから、次の総選挙のポイントまで、国会を専門分野にするライターである平河エリさんに聞いた。
平河 エリ ライター

──国会を見ながら感じることは?

政治家の発言は、ニュースでは切り取られたり、要約されたりしています。ただ、元の発言を動画などで見ると、ニュアンスや意味合いなど、報道とは異なる印象を受けることがあります。

要約とはある意味、複雑なことがらを単純なメッセージに落とし込むこと。けれども、一つの法律をつくるにしても、検討すべき要素は一つではありません。そこには、さまざまな要素があり、肯定的な意見もあれば、否定的な意見もあります。理解するためには多角的に検討することが大切だと感じています。

──政治報道を読み解くポイントは?

一次情報にあたることは、インターネットで情報収集する際には、必須の作業だと思います。

ただ、膨大な情報をすべてチェックするのは現実的ではありません。動画では時間がかかる場合は、過去の議事録にあたるのがいいかもしれません。過去に同じような議論をしていることが多いからです。読むだけで論点の把握に役立ちます。国会議事録はインターネットで公開されていて、気になる言葉を入れて検索すれば、過去の議論をさかのぼれます。

──どこから情報を得るのが良いでしょうか。

まずは自分が興味を持ったことについて調べてみるのがいいのではないでしょうか。政党のYou Tubeチャンネルをチェックするのもいいでしょう。過去の答弁の動画などを見るだけでも、ニュースの要約とは異なるニュアンスを感じられると思います。

労働組合の組合員であれば、組織内議員をはじめ、関連する議員がいるはずなので、そうしたつながりを生かして、話を聞くのもいいでしょう。労働組合が、政治と個人をつなぐ媒介となることは非常に重要です。組合員が、労働組合とつながれば、自分の声が国の政策に反映されると感じられるようになれば、政治参加も広がるのではないでしょうか。

──政治への関心を広げるためには?

連合の「多様な社会運動と労働組合に関する意識調査」では、10代の若者たちが社会運動に好意的であるという結果も出ています。SNSの「ハッシュタグ」を通じて、実際に政治を変える動きも起きています。

若者の間では特にジェンダー平等や同性婚、選択的夫婦別姓制度や、気候変動などの課題に共感が集まりやすくなっています。いわゆる「オールドレフト」的な、護憲、平和というイシューから、個人のアイデンティティーにかかわる問題に、関心が移っていると感じています。

かつてのスローガンが現代の若者たちに実感を持って受け入れられないのも仕方がありません。大切なのは、上の世代が若者たちの意識をキャッチアップして応援すること。どのような運動が共感されるのか。社会運動の側にも反省すべき点もあったと思います。

──次の総選挙のポイントは?

やはり、安倍・菅政権がやってきたことと、野党が掲げる政策を比べることだと思います。

日本は政権交代が少ない国ですが、政権交代は他国ではよくあること。政権が交代することで、権力の腐敗を防いだり、互いが政権を担うことで能力を高めたりしてきました。日本も一定の政権交代があってもいいと思います。その意味で、与党には実績があるので、野党が主張する政策を信じてみることも大切だと思います。「何をしてもどうせ変わらない」では、よくなっていきません。

──投票のポイントは?

その政党が「何を許容しているのか」も、判断材料の一つです。例えば、今回のLGBTに関する法案では、議論の過程で差別的な発言をしたり、法案に反対する議員がいたりしました。そういった議員に対して政党がどういう対応を取るのかが重要です。政党がそれらを許容したままでは、政策はいつまでも実現しません。

候補者個人を見ることも大切ですが、政党が何をめざすのかという視点で選ぶことも大切だと思います。

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