トピックス2022.04

石橋みちひろ参議院議員と若手組合員座談会政治や社会運動はどうすれば身近になる?
若手組合員が石橋みちひろ議員と意見交換

2022/04/13
若手組合員は日々の生活の中でどのような社会課題に関心を持っているのか? 政治活動に参加しづらいのはなぜか。政治はどう役に立っているのか。若手組合員が石橋議員と語り合った。

──本日は仕事終わりの時間にお集まりいただき、ありがとうございます。まずは簡単な自己紹介からお願いします。

御厩KDDI労組KMO支部の御厩(みまや)です。会社では経理関係の仕事をしています。

森田通建連合エクシオグループ労組の森田です。今年1月から組合の専従になりました。

吉岡北海道ブロック支部資材リンコム労組北海道支部の吉岡です。石橋議員とは以前、稚内の平和行動でご一緒したことがあります。

木村アイネス労組の木村です。労働組合の執行委員もしています。

関心のある社会課題は?

──今回の座談会では、組合員の皆さんと政治とのつながりをテーマに意見交換したいと思います。まずは、皆さんが関心のある社会課題を教えてください。

御厩関心のある社会課題は、少子高齢化や社会保障、ジェンダー平等です。恥ずかしながらこれまで政治にあまり関心がありませんでしたが、自分が妊娠してはじめて子どもの将来のことなどを考えるようになりました。例えば、子どもの教育資金とか、自分の老後の資金のこととかです。ライフイベントに必要なお金を計算して、社会保障が自分の生活に大きく影響することがわかりました。

ジェンダー平等に関しては、労働組合を通じてセミナーやジェンダー平等推進員会などに参加してきました。産休から復帰してもこうしたテーマにかかわりたいと考えています。

森田関心のある社会課題は三つあります。一つは長時間労働です。通信建設業界はまだまだ長時間労働が残っていて、時間外労働できる人にがんがんさせようとする雰囲気が残っています。

二つ目は、子育てです。私も将来子育てをすることになったときに、男性が育児休業を取得しやすい社会になっているのかとか、子育てにかかわる費用も気になります。シングルマザーや派遣会社に勤める友人からは、子育て費用に苦労している話を聞いています。

三つ目が、介護問題です。両親が地方在住で、姉が近くに住んでいるのですが、介護の費用や施設のことなどが気になります。

吉岡私も2人と似た課題です。私は現在、0歳と3歳の子育ての真っ最中です。子どもたちの先々の教育資金が心配です。私は、奨学金を利用して大学に通いましたが、その返済が家計の重しになっています。

一方、ヨーロッパでは大学授業料が無料の国もあります。その代わり税金も高いのですが、親の収入によって進路が決まってしまうような社会ではなく、子どもたちが進路を自由に選べるような社会であってほしいと思います。

木村最近の課題でいえば、ロシアのウクライナへの軍事侵攻が気になります。それに関連した物価上昇など、日本経済に対する影響も心配しています。身近な課題としては、保育園に入れない問題などをよく聞きます。

社会運動への参加経験

──皆さんの関心のある社会課題について伺いました。その上で、そうした課題を解決するために社会運動に参加したことはありますか?

御厩労働組合での活動がメインです。例えば、労働組合が行う署名活動や募金活動のほか、セミナーに参加したり、職場の同僚と話したり。それ以外で個人的に社会運動に参加したことはあまりありません。

森田私も労働組合の活動が中心です。ただ、会社との協議に参加して課題解決の難しさも感じています。そのあたりがまだなかなか見えません。

その他には、労働組合の署名活動やセミナーに参加したり、選挙のボランティアにも参加しました。そのことで選挙の候補者選びの際は、政策を見て判断するようになりました。

吉岡社会運動への参加という点では私も同じです。組合活動で声を上げることはありますが、それ以外の場で何か積極的に発信しようとか、参加してみようと思ったことはあまりありません。

なぜなのか考えてみたのですが、声を上げても届かないという思いがあるからではないでしょうか。労働組合として会社と交渉する場合、相手や成果が見えやすいのですが、医療や保育のような国の大きな政策では、個人や一つの組織が声を上げても、成果がなかなか見えません。

木村私も労働組合以外の社会運動に参加した経験はありません。政治に対して関心がないわけではありませんが、個人的に何かの活動に参加するまでではないというのが現状です。

参加しづらい社会運動とは

──声を上げても届かないという思いがあるから社会運動に参加しづらいというご指摘をいただきました。皆さんはどう感じますか?

御厩確かに、自分一人が声を上げたところで何も変わらないと考えてしまう気持ちはわかります。日本では、自己主張をしないシャイな人が多いですし、自分が前面に出るような活動を嫌がる人が多いような気もします。私自身、街中で行われているデモ行進などを見て、興味を持つことはありますが、参加したいと思ったことはあまりありません。怖いというイメージもあります。

森田私の場合、社会運動に参加してこなかったのは、そこまで困っていなかったということもあります。なのできっかけが少なかったとも言えます。

自分の行動が結果にどうつながるのかよくわからないこともあります。例えば、SNSで誰かを応援しようとしても、誰がどういう主張をしていて、どのような結果につながるのか、よくわかりません。それが参加しづらい理由の一つになっています。その点、労働組合の活動の方が成果がわかりやすいと思います。

吉岡相手が見えづらい大きな課題の運動に参加することに難しさを感じますね。同時に、声を上げたとしても必ずしも理解を得られるわけではありません。国を動かすためには、その問題に直接かかわりのない人たちの理解を得る必要もあります。そこにハードルを感じます。一方、平和運動のように多くの人に賛同を得やすいテーマもあると思います。

木村私の場合、自分の興味関心にぴったり当てはまるデモに出会ったことがないというのが理由です。もしかしたら知らないところで開催されているかもしれません。なので、デモ自体が悪いとは思っていません。

──社会運動に参加しづらい理由を伺いましたが、ではどうしたら参加したいと思えるようになるでしょうか。

御厩興味のあるテーマだったり、手軽に参加できそうと思えるものだったらいいかもしれません。同僚や友人などの近しい人に誘ってもらえれば、参加しやすくなると思います。

森田気軽に参加できることは大事だと思います。あと、「かっこいい」と思えるイベントなら参加したいです。例えば、代々木公園で開催されている「レインボー・プライド」とか。

吉岡「かっこいい」は一つのキーワードだと思います。きっかけは、そういうところにあると思うので。

木村私の場合は、自分の興味関心にあうイベントなどがあれば参加してみたいと思います。

労働運動という社会運動

──石橋さん、お待たせしました。皆さんからは、声を上げても届かない。社会を変えている実感がないというお話もありました。皆さんの話を聞いてどのように感じましたか。

石橋日本では、若い世代の投票率が低いとか、社会運動への参加が低調であるとか、これまでにもそうした指摘が盛んに行われてきました。その中で私が思うのは、日本は職場でも友人同士でもまるでタブー視されるかのように政治の話をしません。それは結局、教育課程で政治についての学びが欠落していることに原因があるのではないでしょうか。

例えばヨーロッパでは小学生のうちから、授業で身近な政治課題を題材に、クラスメートや家族との対話を通じて政治の大切さを学んでいきます。意見の異なる人と議論して、自分の考えを確立するわけです。家族や友人と政治の話をすることも当たり前です。それが日本では出来てないので、学校でも家庭でも政治の話をしないまま有権者になってしまう。これは日本の民主主義にとってとても不幸なことです。

長時間労働の問題も、健全な民主主義社会に大きくかかわっています。長時間労働では、政治活動や地域での社会貢献活動など社会運動への参加は困難です。働く者の健康を守ることはもとより、健全な民主主義社会のためにも、長時間労働の是正が重要です。

また、ウクライナ戦争についても言及がありました。情報労連は長年、平和運動にとても力を入れてきました。ひとたび戦争が起これば、どれだけ悲惨なことになるか、あらためて思い知らされています。戦争で最も被害を受けるのは弱い立場の人たちです。平和なくして労働者の安心はありません。絶対に戦争をしてはいけないし、させてもいけないのです。ウクライナだけではなく、ミャンマーやシリア、アフガニスタンなどでも多くの人が軍による武力行使や紛争・内戦で命を奪われ、生活苦に陥っていることを忘れてはいけません。平和運動の大切さをみんなで再確認しなければなりません。

今日、皆さんがお話ししてくれた育児や介護、教育、平和、経済──。これらはすべて政治に直結する話です。だから、組合員の皆さんやご家族の未来のためにも、政治にかかわっていくことが必要なのです。

1人で声を上げても社会を変えられないと思ってしまう、という指摘もありました。けれども皆さんは、労働組合に加入して、労働運動という素晴らしい社会運動に参加しています。皆さんには全国に情報労連19万人の仲間がいます。1人では難しことでも、情報労連の仲間と力を合わせて一緒に声を上げることで政治を動かすことができます。そしてそれが、皆さんの代表として国会に送ってもらっている私の役目です。

政治とのつながりどう感じるか

──政治とのつながりを感じるために、私たちの声が政治にどのように反映されているのか教えていただけますか。

石橋例えば、長時間労働の問題では、2018年に「働き方改革関連法案」の国会審議がありました。残業時間の上限規制や同一労働同一賃金を定める法案でしたが、政府案では規制内容が不十分だったため、私たちは連合や情報労連の皆さんの声も反映した対案を政府案にぶつけ、問題点を追及して、その結果、47項目もの附帯決議を勝ち取って法律に縛りをかけることができました。

また、ジェンダー平等では、例えば男性の育児休業の義務化を検討するように提案してきましたが、それが今回の男性版出生時育児休業制度につながりましたし、私が筆頭発議者となって提出した「パワハラ規制法案」が、その後のパワハラ防止法の成立につながっています。実は、パワハラ規制法案の提案のきっかけになったのは、医療現場の皆さんの声をお聴きしたことでした。その他にも、派遣労働者や福祉・保育現場の皆さん、外国人労働者らの声を国会に届け、制度の改善などにも結び付けてきました(情報労連REPORT2022年1・2月号「石橋みちひろはこんな人」参照)。

情報労連の学習会や国政報告会では、国会や地方議会へ働く者の代表を送り出すことの重要性を組合員の皆さんと共有しています。そうした機会をぜひもっとつくってもらいたいと思います。そして、組織内議員をもっと活用してもらって、議員を、そして政治をもっと身近に感じてほしいと思います。今回のように双方向で意見交換できる場はとても貴重だと感じています。

──どうしたら政治や政治家とのつながりを感じられると思いますか。

御厩政治学習会やこうした座談会で生の声を伝えてくれるのが一番だと思います。先般、所属支部の学習会で石橋さんに講演してもらいました。質問が出るか不安でしたが、たくさん手が上がりました。組合員が日ごろ感じている社会問題への疑問に対して、石橋さん本人が答えてくれてとてもよかったです。

政治と聞くとどうしても難しくて、固いイメージがあり、最初は乗り気ではない組合員も多かったようですが、参加してみると身近な話題が多いし、面白かったし、政治に興味が出たという感想がたくさん寄せられました。直接対話できる機会を設けることがやはり効果的だと思います。

森田きっかけとして目に飛び込んでくる印象的な情報があるといいなと思います。例えば、情報労連がつくった「石橋みちひろはこんな人」というチラシは、石橋さんがどんな人なのかを知る上で役に立ちました。活動報告だけではなく、日常的な一面も紹介してもらえるとより興味を持ちやすくなると思います。

吉岡石橋さんとの最初の出会いは講演会でしたが、「なんて話のうまい人なんだ」と引き込まれました。その後、直接お話しする機会があり、国会議員というととっつきづらいイメージがありましたが、石橋さんは真摯に話を聞いてくれるし、笑い話もあり、国会議員のイメージがかわりました。政治家の人柄を知ると政治にも興味を持ってくれるのではないでしょうか。

木村確かに、政治家本人の人となりを知っているかどうかは大きいですね。政策だけではなく、本人の人柄も判断の基準になります。

政治を身近にするために

──政治の話をしづらいというタブーを乗り越えて、周囲の人と政治の話をしていくにはどうしたらいいでしょうか。

御厩やはり教育段階から政治の重要性に触れる機会を増やしてほしいと思いました。子どもたちが自分たちの将来を自分たちで決められるような社会になってほしいと思います。

森田大学の友人たちに石橋さんの話をいきなり持ち出すのは正直難しいです。でも、長時間労働や育児、介護などの身近な課題の話はできます。そういうところから政治の話につなげて、石橋さんのことを紹介できればいいなと思います。

吉岡労働組合の活動を通じて石橋さんの活動を紹介していきたいと思います。あとは、家族や身内など近しい人から話をしていきたいです。子どもたちにも政治の話をしたいと思います。

木村「政治離れ」とも言われますが、多くの人は政治に興味がないわけではなくて、政策が及ぼす影響などについて考えていると思います。なので、誰に投票したのかとか、そういう政治の話は難しくても、政党がどういう政策を訴えていて、それが自分たちにどう影響するのかという話をすることは難しくありません。興味のある政策から話をしていけば、議員につながるのではないでしょうか。

──石橋議員はどう思いますか?

石橋やはり、こうした対話の機会が大切なのだと感じました。最近はオンラインでの対話会が増えていて、直接お会いできないのは残念ですが一方で、対面の大規模集会より気軽で、質問がたくさん出たり、時間や場所を問わずに参加できたり、メリットも感じています。オンラインツールも活用して、疑問や質問をぶつけてもらって政治を身近に感じてもらいたいと思います。

──最後に石橋議員への期待を。

御厩育児や介護をしながらでも働きやすい、ワーク・ライフ・バランスを実現できる日本社会にしてほしいです。

森田石橋さんと一緒に長時間労働の是正に向けて頑張りたいです。あとは、男性の育児参加がもっと進む社会になってほしいです。

吉岡もっといろいろな情報があると政治への興味を持ちやすくなると思います。例えば、ヨーロッパでは教育費が無料とか。日本をもっと暮らしやすい社会にしてほしいと思います。

木村若年層の投票率が低いこともあってか、若年層への支援が少ないイメージがあります。子育てなどによりフォーカスしたことがわかる政策をアピールしてくれたらうれしいです。

石橋いま、政治が何をするか、もしくは何をしないかで日本社会の将来、つまり皆さんの未来が左右されます。その影響をより大きく受けるのが若い世代です。私たちはそのことを意識して政治に取り組んできました。若い世代が安心して働き、暮らせる社会にするために、本日皆さんからいただいた期待にお応えできるよう、働く人、生活者の代表として活動していきます。引き続き、応援していただければと思います。本日はありがとうございました。

──私たちも石橋議員と一緒に暮らしやすい社会の実現に向けて頑張りたいと思います。

本日はありがとうございました。

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