万国の労働者は団結しているのか?
労働組合のチームビルディング
古巣バンダイの主力商品の一つに、スーパー戦隊シリーズというものがある。いわゆる、戦隊ものだ。今年の作品は『暴太郎(あばたろう)戦隊ドンブラザーズ』だ。桃太郎の世界観を生かしたものである。
カラフルな仲間たちが、強みを生かし、力を合わせて悪に立ち向かうというフォーマットは、これまでの46作品に共通するものである。ある作品では敵に対してヒーローが「人質なんて、卑怯だぞ!」と叫んだところ、「いつも5人でかかってくるお前らに言われたくない!」と反論していて、大爆笑した。初期作品はピンクのみ女性で、5作品目の『太陽戦隊サンバルカン』は女性ゼロという「男社会」だったが、8作品目の『超電子バイオマン』から女性の隊員が2人となっている。
ただ、正義のヒーローが勢ぞろいしたところで、悪を倒せるわけではない。スポンサーの玩具メーカーがクリスマス、お年玉商戦で商品を売り切らなければならないという大人の事情もあり、1年はかかる。敵もどんどん強くなる。さらには、ヒーローたちもなかなか一枚岩になれないのである。レッドとブルーの対立などはよくある話だし、なかにはリーダーがだらしない作品もある。
労働組合も正義のために団結して闘うという点では戦隊と一緒である(経営者が“悪”かどうかの判断は読者の皆さんに任せる)。しかし、万国の労働者は団結できているだろうか。特に新型コロナウイルスショック以降、「以前のように対面での打ち合わせができない」という悩みが大きい。また、同じ業界、企業においても事業や職種によって労働者が求める条件が異なることもある。「自由で柔軟な働き方」などはまさにそうだ。テレワークに関しても、温度差は顕著である。
以前のような飲みニケーションを行うこともできない。新型コロナウイルスショックの影響もある。そもそもこれは参加者に心理的、肉体的、金銭的、時間的な負担を強いる可能性があるものとして、見直しを迫られていた。
では、どうするか? まずは、それぞれの人を知ることからはじめてはどうか? オンライン化により、グループワークはむしろやりやすくなった。自己紹介をひたすら繰り返す、その際に本人の業務内容や、問題意識だけではなく、プライベートの話なども盛り込むとよい。さらには、議事録に発言者を残さないルール(チャタムハウスルール)で、本音の議論をするという手もある。
古巣リクルートの創業者江副浩正は、従業員が20人前後の頃に社内報を立ち上げた。社長のビジョンを伝えるだけでなく、従業員同士、関心を持つためである。こわもての人も、家族や趣味の話を知ると印象が変わる。
お互いの人となりを理解することは組織づくりの基本である。経営不振に陥った企業も、再建の際にはひたすら従業員同士で思いを共有するセッションを繰り返した例もある。
いかに団結するのか。自分は色に例えると、何色か。得意技は何か。チームにどう貢献できるか。戦隊ものを見ながら考えよう。子どもが次々と玩具をおねだりするようになり、倒すべき「悪」は玩具メーカーだと気付くかもしれないが。